お待ちかね、私の選んだ'2004年度・ベスト20の発表です。例年通り、邦画・洋画の区別なしに20本の作品を選び、順位をつけてみました。
選考基準は、'2004年1月〜12月の間に大阪にて公開されたものが対象となっております。従って、大阪公開が2005年1月以降となった「理由」「ニワトリはハダシだ」などは対象外としました。ご了承ください。
順位 | 作 品 名 | 監 督 名 | 採 点 |
1 | 父と暮せば | 黒木 和雄 | |
2 | 殺人の追憶 | ボン・ジュノ | |
3 | 冬の日 -連句アニメーション- | 川本 喜八郎 他 | |
4 | スクール・オブ・ロック | リチャード・リンクレイター | |
5 | チルソクの夏 | 佐々部 清 | |
6 | 深呼吸の必要 | 篠原 哲雄 | |
7 | お父さんのバックドロップ | 李 闘士男 | |
8 | 誰も知らない | 是枝 裕和 | |
9 | 血と骨 | 崔 洋一 | |
10 | シービスケット | ゲイリー・ロス | |
11 | 隠し剣 鬼の爪 | 山田 洋次 | |
12 | スウィングガールズ | 矢口 史靖 | |
13 | 下妻物語 | 中島 哲也 | |
14 | モンスター | パティ・ジェンキンス | |
15 | イノセンス | 押井 守 | |
16 | ビッグ・フィッシュ | ティム・バートン | |
17 | いま、会いにゆきます | 土井 裕泰 | |
18 | ミスティック・リバー | クリント・イーストウッド | |
19 | 花とアリス | 岩井 俊二 | |
20 | ハウルの動く城 | 宮崎 駿 | |
次 | ヴァイブレータ | 廣木 隆一 |
個々の作品評については、以下の文中のアンダーライン付作品名をクリックしていただければそれぞれの批評ページに飛びますのでそちらを参照してください。 (ここに戻る場合はツールバーの「戻る」を使ってください)
今年度は日本映画が豊作で、ベスト選考に悩みまくり…と何度も書いてきた通り、本当にランクインさせたい日本映画が目白押し。こんな時に、私が考案した邦洋混在ベスト20―という方式が威力を発揮(笑)して、ご覧の通り、20本中日本映画が14本、外国映画が6本…という結果に相成りました。まあ実際、今年度は洋画にこれといった作品が少なく、こんな比率が妥当な所ではないかと思います。
さて、そんなわけで選んだ私の本年度の1位は「父と暮せば」。詳しくは作品評を見ていただきますが、原作も、脚本も、演出も、俳優もすべて完璧。非の打ちどころがない。とりわけ、昨年はキネ旬で1位となった同監督の「美しい夏キリシマ」が関西で公開が遅れ、選ぶ事が出来なかっただけに、雪辱を果たした事にもなるわけですね。本当にいい作品です。
2位は、元気な韓国映画「殺人の追憶」。詳しくは映画評を参照。韓国パワーの凄さを見せつけた見事な傑作です。
3位は、連句アニメーション「冬の日」。何度でも観たくなる秀作です。アニメに関心のない方でも是非観てください。DVDを買って手元に置いておきたいくらいですが、ちょっと値段が高くて手が出ない。上映機会もめったにないので、少しでも多くの人に観ていただきたいのですがね。
4位「スクール・オブ・ロック」。エンタティンメントとしては本年度最高作です。ジャック・ブラック快(怪?)演。わが「スウィングガールズ」と比べて観るのもいいでしょう。あまり製作費もかかっていないようですが、CGだらけの大作よりも、こうした作品をこそもっと評価すべきでしょう。
5位「チルソクの夏」と6位の「深呼吸の必要」、どちらも、爽やかな青春映画が好きな方には特におススメ。若い人には、こうした心に沁みる秀作を数多く観て欲しいと思います。7位「お父さんのバックドロップ」も、心温まる素敵な感動作。こうした秀作を続けて観ると、洋画のハデなCG大作が(何度も書く!(笑))いかに空疎でつまらないかがよく分かり、日本映画っていいな…ときっと感じることでしょう。
8位「誰も知らない」。既にあちこちで最優秀作品賞を受賞している力作です。いい映画には違いありませんが、個人的には観終わって爽やかな感動に包まれる作品が好きなので(1、2位は別格です)、こんな位置に落ち着きました。
「血と骨」が9位になった理由も上の作品とほぼ同様。まあ、あちこちのベストテンではこの2本が1〜2位を争うでしょうね。
10位「シービスケット」。最近のアメリカ映画には珍しい感動系という事で、若干点数が甘くなりました。―以上、ベストテンです。
11位「隠し剣 鬼の爪」。寅さんに代わる山田洋次の新シリーズになるでしょうか。
12位「スウィングガールズ」、13位「下妻物語」―どちらも大いに笑わせてくれ、かつラストに感動が待っているという娯楽映画の王道を行く作品。
14位は「モンスター」。シャーリーズ・セロンの役者根性に頭が下がります。
15位の「イノセンス」は、まさに押井ワールド全開。16位は「ビッグフィッシュ」。父と子の情愛をしみじみと綴ったティム・バートン監督の感動作。17位「いま、会いにゆきます」は、わが国では珍しい、ジャック・フィニィの小説を思わせるSF的味わいを持ったファンタジーを成功させた点を買います。
18位「ミスティック・リバー」。力作で俳優の演技も素晴らしいのですが、後味があんまりよろしくないので、こんな位置に。でも、もう一回観てみたくなる捨て難い魅力はあります。それにしても、クリント・イーストウッド、もう監督としても超一流になりましたね。19位「花とアリス」。爽やかで、かつ軽やかな青春映画。岩井俊二監督作品としては「LOVE LETTER」に次いで好きな作品です。
20位「ハウルの動く城」。あんまり作品としての評判は良くないようですが、やはり宮崎さんらしさが随所に見られ、私的には満足しました。ただ、ラストが急にバタバタと終わった感じで、そこだけ残念。体操に例えるなら、演技そのものは良かったのに最後の着地に失敗したような作品でしたね。それでも、何度も観たいという気を起こさせるだけでも大したもの。もう一度観たら順位は変わるかも知れない。
次点「ヴァイブレータ」。寺島しのぶの存在感が素晴らしい。ただ観終わって1年近くも経ってしまうとやや印象が薄れてしまった。一昨年中に観れておれば、昨年度のベスト20中でもっと上位になったかも知れない。―それにしても、大手映画会社はこんないい女優を大事に育てる意欲も失ってしまっているようだ。宝の持ち腐れとはこの事である。
以上でベスト21の紹介は終りですが、今年も例年にならって(いや、いつも以上に)もっと取り上げたい作品がどっさりあるので、以下できる所まで紹介いたします。
22位「東京原発」。こういうブラックなポリティカル・フィクション・コメディが、わが国でも作られるようになった事を喜びたい。
23位「笑の大学」。脚本賞ものですね。これで椿一役に達者な若手役者を配しておればもっと上位になったかも知れない。
24位「ブラザーフッド」。ハリウッド作品にひけを取らない堂々たる戦争大作。このくらいのレベルの作品が日本でも作れないといけないのだが…。
25位「世界の中心で、愛をさけぶ」。あんまりヒットし過ぎ。何分の一かでも「チルソクの夏」や「深呼吸の必要」に回って欲しいくらい。26位「ゼブラーマン」。こういうの、好きですね。本当はもっと上位にしたいのですが…。
27位「透光の樹」。久しぶりの根岸吉太郎監督作品。秋吉久美子嬢の衰えぬボディが拝めるだけでも観る価値あり。しかし、根岸のような実力のある監督が、6年も映画を撮れない事も問題。「海猫」はむしろ根岸に撮らせるべきだったかも知れない。
28位「いつかA列車に乗って」。大人の映画ですね。異業種監督のデビュー作としては上出来。荒木とよひささんには、是非近いうちに2作目のメガホンを取っていただきたいですね。29位の「ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション」には腹を抱えて笑った。楽しさでは本年度随一と言っていいかも知れない。筋金入りの映画ファンほど楽しめるでしょう。30位「海猿 ウミザル」。こういうタイプの映画がどんどん作られるようになれば、日本映画も面白くなって来たと言えるでしょうね。
…以上、ほとんどベスト20候補です。どれも入れたかったのですがね。
そして、例によってまだベスト候補作品がありますので、あと8本だけ追加します。
31位「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(ピーター・ジャクソン監督)、32位「スパイダーマン2」、33位「マッハ!」、34位「キル・ビル
Vol.2」、35位「イン・アメリカ 三つの小さな願い事」、36位「シルミド/SILMIDO」(カン・ウソク監督)、37位「スクールウォーズ
HERO」、38位「ソウ」(ジェームズ・ワン監督)。なんとまあ、90点以上が34本も!ありました。ホント、豊作の年でしたね。
※ ワーストテンもUPしましたので、そちらもご覧ください。