お待ちかね、私の選んだ2005年度・ベスト20の発表です。例年通り、邦画・洋画の区別なしに20本の作品を選び、順位をつけてみました。
 選考基準は、2005年1月〜12月の間に大阪にて公開されたものが対象となっております。従って、大阪公開が2006年1月以降となった「ゲルマニウムの夜」「ある子供」などは対象外としました。ご了承ください。

順位 作  品  名 監  督  名 採 点
ALWAYS 三丁目の夕日 山崎 貴
パッチギ! 井筒 和幸
ミリオンダラー・ベイビー クリント・イーストウッド
Ray (レイ) ティラー・ハックフォード
コープス・ブライド ティム・バートン
ネバーランド マーク・フォスター
樹の海 JYUKAI 瀧本 智行
リンダ リンダ リンダ 山下 敦弘
キング・コング ピーター・ジャクソン
10 シンデレラマン ロン・ハワード
11 チャーリーとチョコレート工場 ティム・バートン
12 男たちの大和 YAMATO 佐藤 純彌
13 セルラー デヴィッド・R・エリス
14 サマータイムマシン・ブルース 本広 克行
15 フライ、ダディ、フライ 成島 出
16 バタフライ・エフェクト エリック・ブレス 、J・マッキー・グルーバー
17 亡国のイージス 阪本 順治
18 NANA 大谷 健太郎
19 カンフー・ハッスル チャウ・シンチー
20 香港国際警察/New Police Story ベニー・チャン
カーテンコール 佐々部 清

 

 個々の作品評については、以下の文中のアンダーライン付作品名をクリックしていただければそれぞれの批評ページに飛びますのでそちらを参照してください。 (ここに戻る場合はツールバーの「戻る」を使ってください)

 それであらかじめご了承いただきたいのは、今年度は個人的に忙しい事情が続いて、重要な作品をかなり見逃してしまいました。特にミニシアター系作品は、やっと体が空いた頃には上映が終了していたり、モーニングショーしかやってなかったりで、どうしても観る事が出来ませんでした。例えば「いつか読書する日」「メゾン・ド・ヒミコ」「運命じゃない人」「海を飛ぶ夢」などが現在のところ未見です。―そんなわけで、やや不本意なベスト20である事をお断りしておきます。
 で、昨年は日本映画が豊作で、20本中14本を日本映画が占めておりましたが、今年度は前掲の重要な作品を見逃した事もあってか、日本映画は洋画より少ない9本に留まりました。
 さて、1位は、これは文句なし「ALWAYS 三丁目の夕日」。これほど何度でも観直したくなる作品も久しぶり。そう思う方は多いようで、正月を越えてもまだ全国で上映が続いております。また観に行こうかな…。
 僅かの差で「パッチギ!」が2位。これも泣ける傑作です。偶然ですが、「三丁目−」の昭和33年当時は私は小学生、「パッチギ!」の舞台となる昭和43年には私は大学生で「イムジン河」を熱唱しておりました。つまりどちらもリアルタイムで体験した年代なのです。思い入れの強さが分かっていただけると思います。
 3位はクリント・イーストウッドの秀作「ミリオンダラー・ベイビー」。前半のダイナミックなボクシング・ファイトシーンの迫力、後半は一転静謐な格調高さが心を打つ。これこそ本物の映画です。―それにしても、昨年の「ミスティック・リバー」に続き2年連続各映画賞ベストワン総ナメとは。それもあの歳で…。恐れ入りました…と言うしかない。
 4位はレイ・チャールズの伝記「Ray(レイ)」。チャールズ・ファンとしては垂涎ものだが、黒人差別、アーティストの苦悩などテーマも人間的掘り下げも深い秀作。これを観てから「わが心のジョージア」を聴くと、余計ジーンとするようになった。
 5位の「コープス・ブライド」は、現在では希少価値となったコマ撮り人形アニメだからこそ、その滑らかな動き、人形とは思えないくらいの表情の豊かさをじっと慈しむように観るべし。残酷なのに、優しさに溢れているという不思議な傑作。
 6位「ネバーランド」。これがあまり評価されていないようなのは残念。味わい深い名作です。
 7位の「樹の海 JYUKAI」は、限定的な公開だったので観ている人は少ないとは思うが、考えさせる秀作です。ビデオが出れば是非観てください。
 8位「リンダ リンダ リンダ」。山下敦弘監督独自のスタイルを貫きながら、素敵な青春映画としても成功している点は、考えると凄いことです。どこまでこの作風が通用するか、目が離せなくなって来ましたね。
 9位「キング・コング」。あの朝焼けシーンの美しさは、映画史に残ると言ってもいいでしょう。怪獣映画をここまで感動の作品に仕上げたピーター・ジャクソン、えらい!。
 10位「シンデレラマン」。時代背景や実話という設定から、昨年の「シービスケット」を思い出しました。家族の為に必死で頑張る父親の姿に私は弱いのです。泣けました。―以上、ベストテンです。

 11位にまたもティム・バートン「チャーリーとチョコレート工場」。絶好調ですね。12位には「男たちの大和 YAMATO」。何よりも、あの角川春樹が復活した、そのことが嬉しいのです。これを足掛かりに、また日本映画界に旋風を巻き起こしてくれる事を期待したいですね。
 13位の「セルラー」は思わぬ拾い物。携帯電話をサスペンスの小道具として、実にうまく使ってるし、最後までダレない脚本・演出もお見事。サスペンス・ファンにはお奨めです。脚本があの「フォーン・ブース」のラリー・コーエンと聞いて納得。
 14位「サマータイムマシン・ブルース」。タイムマシンものと青春ものとを融合させた着想が秀逸。
 15位「フライ、ダディ、フライ」、17位「亡国のイージス」、共に中年男が必死で頑張る姿に打たれます。弱いですね、こういうのに。
 16位の「バタフライ・エフェクト」はアイデアが秀逸。何度でも過去に戻れる能力を持った男が、事態を良い方に持って行こうと考え過去に戻るが、その度に却って悪い事態を招いてしまい、それを修正しようと過去に戻ると、また別の悪い結果が…。とうとう最後に思いついた結論が泣かせます。運命のいたづらについて考えさせてくれる異色作。これも思わぬ拾い物と言えるでしょう。
 18位は「NANA」。女二人の友情、愛、音楽への情熱…等をテンポよく描いた佳作。宮アあおいが「害虫」の頃とはうって変わって可愛らしい。監督にインディーズ出身の大谷健太郎を起用し、作品的にも興行的にも成功させた東宝の戦略もお見事。この辺が何をやってもヘタな東映との違いでしょう。
 19位、20位は共に香港映画の快作「カンフー・ハッスル」「香港国際警察/New Police Story」。最近は韓国映画の台頭著しいが、まだまだ香港も頑張ってます。
 次点は、悩んだ末に「カーテンコール」。批評で書いたように問題点はありますが、後になってジワジワと効いてきます。「いつでも夢を」が耳に残ります。「チルソクの夏」の「雨に咲く花」といい、佐々部監督はナツメロの使い方がうまいですね。

 以上でベスト21の紹介は終りですが、例によってテンから洩れた捨てがたい作品を以下に紹介いたします。
 22位「逆境ナイン」(羽住英一郎 監督)。詳細は批評参照。おバカ映画です。笑えます。

 23位「HINOKIO ヒノキオ」(秋山貴彦 監督)。ロボットと不登校の少年の交流を描いたファンタスティックな佳作。CGによるロボット・ヒノキオが見事に画面に溶け込んでいます。このVFXは特筆もの。あまり話題にもなりませんでしたが、捨て難い魅力があります。惜しむらくはフィルムの抜けが良くない事。ビデオでは改善されてるでしょうか。
 24位「交渉人・真下正義」(本広克行 監督)。「踊る大捜査線」のスピンオフ企画ですが、これが意外とサスペンスフルで楽しめました。脚本(十川誠志)が良く出来てます。この脚本家の名前は覚えておいた方がいいでしょう。
 25位「サイドウェイ」(アレクサンダー・ペイン 監督)。冴えない中年男のロードムービー。ワインに関する薀蓄が面白い。主演のポール・ジアマッテイ(「シンデレラマン」でも好演)、トーマス・ヘイデン・チャーチがとてもいいです。ワインのように、じんわりと心に沁みる佳作です。
 26位「五線譜のラブレター DE-LOVELY」(アーウィン・ウィンクラー 監督)。27位「ローレライ」(樋口真嗣 監督)。28位「SAYURI」(ロブ・マーシャル 監督)。29位「真夜中の弥次さん喜多さん」(宮藤官九郎 監督)。30位「チーム★アメリカ/ワールドポリス」(トレイ・パーカー 監督)。それぞれ批評参照。
 …以上、30位までです。

 昨年と違い、ベストに入れたい候補作品は正直なところ25位まで。あとは選外です。―しかし、恒例ですので、例年通りあと8本だけ追加します。
 31位「エターナル・サンシャイン」(ミシェル・ゴンドリー 監督)、32位「四日間の奇蹟」33位「ロード・オブ・ウォー」(アンドリュー・ニコル監督)、34位「愛についてのキンゼイ・レポート」(ビル・コンドン 監督)35位「この胸いっぱいの愛を」36位「蝉しぐれ」、37位「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」、38位「シン・シティ」

  
   ワーストテンもUPしましたので、そちらもご覧ください。

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