香港国際警察/New Police Story   (香港:ベニー・チャン 監督)

 ハリウッドで活躍を続けていたジャッキー・チェンが、久しぶりに香港に帰って主演したアクション映画の快作。
 ハリウッド製作の、最近のジャッキー映画は、アクションはまあまあなのだが、「ラッシュアワー」シリーズにしろ、「シャンハイ・ヌーン」シリーズにしろ、相棒がけたたましくてウザかったり(クリス・タッカー)、ニヤけてるだけで邪魔なだけだったり(オーウェン・ウィルソン)と少しもプラス・アルファになっておらず、映画そのものとしてはつまらなかった。年齢も50歳を迎えて、体力的な衰えも顕著になっていた。ジャッキーの時代もそろそろ終わりかな…と思っていたのだが…。
 久しぶり古巣に帰ったジャッキーは、それこそ水を得た魚のように、イキのいい、かつてのジャッキー節を取り戻していた。無論、昔ほどには動きはシャープではないのだが、その分年齢相応に、部下に対して厳しく指導する上司としての風格を身につけていた。対する悪役も、ゲーム感覚で悪事を繰り返す、ジャッキーの息子世代に当たる若い道楽坊やたちを配し、時代を反映した作りになっている。
 ジャッキーは、最初はこいつらにコテンパンにノサれ、酒浸りになり、どん底に落ち込むが(飲んでぶっ倒れ、ゲロ吐くというとことん惨めな姿を晒すジャッキーの姿も珍しい)、やがてジャッキーを尊敬する若者の助力を得て、遂に最後にリベンジを果たす・・・という、まさに典型的な娯楽映画の王道を行く展開が小気味良い。バスの暴走など、大仕掛けのアクションも楽しい。とにかく、50歳になっても、高層ビルの垂直の壁をロープ一本で駆け降りるという無謀なスタントを自分でやってしまうジャッキーの姿には、素直に感動してしまう。いずれはだんだんと体が動かなくなるのだろうが、動ける間はいつまでもアクション・スターでいて欲しいと思う。昔の「ポリス・ストーリー」などに感動したファンは必見である。