シン・シティ    (ギャガ:ロバート・ロドリゲス/フランク・ミラー 監督)

 アメコミ作家、フランク・ミラーの原作を、「デスペラード」、「スパイ・キッズ」などで好調のロバート・ロドリゲスと、ミラー本人の共同監督により映画化したハードボイルド・アクション。なお一部ロドリゲスの盟友クェンティン・タランティーノがゲスト演出している。
 お話は3つのエピソードからなり、いずれも女を守る為に、あるいは殺された女の復讐の為に孤独な戦いに立ち向かう男のドラマである。かなりハードで残酷なシーンもあるのだが、全編モノクロ、部分カラーのスタイリッシュな映像で描いている為、それほどどぎつくは感じられない。と言うより、二刀流の日本刀(しかも座頭市なみの逆手!)でスパスパ殺しまくる東洋人の女殺し屋(デヴォン青木)の登場でも分かる通り、かなりマンガチックで笑えるシーンが多い。男のキャラも、まるでハルクのような不死身のマッチョマン(これがなんとミッキー・ローク!)がいたりと、まあ要するにコミックの世界でハードボイルドをやってるわけなのである。だから何でもあり。あのイライジャ・ウッドが何故か空中飛び跳ねようがお構いなし。どこにもない架空のシン・シティ(罪の街)で、豪華スターたち(前記以外にもブルース・ウィリス、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ハートネットなど)を配し、アメリカン・ハードボイルド、フランス・フィルム・ノワール、日本のチャンバラ・アクションなどをごった煮でぶち込んで(ついでにタランティーノ・エキスもまぶして)遊びまくった、これはそんなハチャメチャ・コミック・アクション・ファンタジーなのである。ノれない人は引いてしまうだろうが、ノれた人には笑って楽しめるだろう。これから観る方はそのつもりで。私は楽しめましたね。なおロドリゲスは、製作・脚本・監督のみならず、撮影・編集・音楽まで担当している。デジタル処理による、実にクリアなパートカラー映像にも注目を。