恒例の、2006年度の私の選んだワーストテンを発表します。例によって、単にどうしようもない作品だけに留まらず、この作家なら…と期待したにもかかわらず、その期待を大きく裏切った作品に対しては厳しいスタンスで臨んでおります。対象期間はベスト20と同様、'2006年1月〜12月。なお、ベスト20と同様、アンダーライン付の作品名なら、クリックすれば作品批評にジャンプします (戻る場合はベスト20と同様、ツールバーの「戻る」を使用してください)。 では発表します。
順位 | 作 品 名 | 監 督 |
1 | 地下鉄に乗って | 篠原 哲雄 |
2 | アンジェラ | リュック・ベッソン |
3 | PROMISE | チェン・カイコー |
4 | フライトプラン | ロベルト・シュヴェンケ |
5 | 初恋 | 塙 幸成 |
6 | レディ・イン・ザ・ウォーター | M・ナイト・シャマラン |
7 | イーオン・フラックス | カリン・クサマ |
8 | ポセイドン | ウォルフガング・ペーターゼン |
9 | 氷の微笑2 | マイケル・ケイトン=ジョーンズ |
10 | ダ・ヴィンチ・コード | ロン・ハワード |
次 | 悲しき天使 | 大森 一樹 |
ワーストワンは、浅田次郎原作「地下鉄に乗って」。どれだけ酷いかは作品評を見てください。そうそう、快楽亭ブラック師匠もワーストワンにしてました(「映画秘宝」)。篠原哲雄監督は好きな監督なんだけど、出来不出来のムラが激しい人で、「昭和歌謡大全集」も酷かった。もっと作品を選んでいただきたいですね。
2位の「アンジェラ」も困った作品。リュック・ベッソン監督作品は「レオン」を最後に、以後全部スカ。何より、ベッソンともあろう人がこれだけいろんな名作をパクっちゃいかんでしょう。もう才能使い果たしちゃったんじゃないでしょうか(笑)。
3位はこれまたかつては「覇王別姫/さらばわが愛」などの秀作を発表していたチェン・カイコー監督のトホホな怪作「PROMISE」。あのチャン・ドンゴンの暴走する牛より早い前かがみ走りっぷりには吹き出した(笑)。「少林サッカー」か(笑)。何を血迷ったかチェン・カイコー。あきれて情けなくなったよ。CGを巧みに使ったチャン・イーモウ「HERO」に対抗心を燃やしたのだろうか。にしても使い方を誤ってるよ。ハリウッドで大失敗した「キリング・ミー・ソフトリー」以来、またもワースト入りのお粗末。
4位「フライトプラン」も作品評参照。ムリな設定にイージーな結末。ハリウッド映画が最近低調との事ですが、その理由が分かる気がします。もっとも本作は日本ではそこそこ稼いだようですが…。
5位「初恋」。“三億円犯人は女子高校生だった”というアイデアにつられて観たのですが、ガッカリしましたね。人物描写も薄っぺらで、犯罪映画としても、多感な少女の初恋物語としても中途半端。もちっと脚本を練って欲しいものです。
6位は、もはやワースト常連のM・ナイト・シャマラン監督「レディ・イン・ザ・ウォーター」。なんか、どんどん酷くなってる気がします。
7位「イーオン・フラックス」もトホホな出来。監督のカリン・クサマは前作「ガール・ファイト」がまずまずだったので期待してたのですがね。やっぱりハリウッド映画低調の理由が…(もういいって(笑))。
8位「ポセイドン」は言うまでもないでしょう。前作と比較されて気の毒な面もありますが、それにしても人物描写がおざなりです。CGにはもう飽きました。優れた人間ドラマをこそ描くべきでしょう。
9位は「氷の微笑2」。前作の夢よもう一度…てことでしょうが、作るのが遅過ぎましたね。今やヘアヌードも珍しくなくなった時代に、48歳のオバさんヌードなんて見たくないです(笑)。話もつまらないし。監督のマイケル・ケイトン=ジョーンズは「メンフィス・ベル」「ロブ・ロイ」などの佳作を撮ってますが(最新作は「ルワンダの涙」)、本作ではミソをつけました。ラジー賞にもノミネートされてるらしいです(笑)。
10位「ダ・ヴィンチ・コード」も文句なし。…それにしても、4位以下、期せずして6本もハリウッド映画が並んでしまいました。昨年は5本を占めた日本映画が今年は2本止まり。―ここにも、日本映画の興行収入シェアが21年ぶりに洋画を上回った理由が示されているように思います。
次点は、ワーストという程の事もないのですが、次回作では是非頑張って挽回して欲しい…との励ましと期待を込めて、大森一樹監督の「悲しき天使」に。
番外は1本だけ。「かにゴールキーパー」(河崎実)。どこまで続く「えびボクサー」の2番煎じ。いいかげんにしなさい!。