フライトプラン    (タッチストーン:ロベルト・シュヴェンケ 監督)

 高度1万mの飛行機の中で、突然娘が消え、誰も姿を見なかったと言う。母親(ジョディ・フォスター)は必死で機内を探すが見つからない。それどころか、搭乗記録もないし、調査報告では娘は数日前に死んでいると聞かされる。いったい真相は?。あるいは娘がいるというのは、母親の妄想なのか・・・。
 ストーリーだけ聞くと、昨年の問題(?)作「フォーガットン」が思い出される。あれはヒドい映画だったが、こちらは大丈夫かいな…と不安になる。こういう展開の作品は、ヒッチコックの名作「バルカン超特急」が代表作として有名であり、本作はどうやら「バルカン超特急」をかなりヒントにしているフシがうかがえる。予告編にも出て来るのでネタバレにはならないと思うが、娘が実在していた証拠をフォスターがみつけるくだりも「バルカン−」そのまんまである(それにしても、あの劇場予告編、ストーリーをバラし過ぎである。全体の2/3まであれ見て分かってしまった)。うーむ、いったいどんな謎又は陰謀が隠されているのだろうか…と、途中まではワクワク、ドキドキさせられた。
 ところが、である。後半に突入すると、途端に話が雑になる。ほとんど偶然が重ならないと無理な、お粗末なトリックである。多分、「バルカン−」からヒントを得て前半のストーリーを考案したものの、後半のアイデアが浮かばなくて苦し紛れにデッチあげたような脚本である。ラストに至ってはフォスターはもはや女ランボーか、「エイリアン」のリプリーか…というメチャクチャな展開で、あいた口がしばらくふさがらなかった。よくまあこんな脚本を採用したものである。「フォーガットン」といい、最近のハリウッドの脚本レベルはかなり酷い。とことん書き直させるプロデューサーもいないのだろうか。おまけにラストで(ネタバらすけど、こんなの隠す値打ちもない!)ヒロインの近くの席にいた子供が「だからあの子を見たといったのに」とほざいている。それなら苦労して隠蔽してもぶち壊しではないか…と突っ込みたくなる。機内にいたアラブ人をフォスターが犯人扱いするあたりもどうかと思う(その後のフォローも全くない)。まあお馴染み、母親の子供を思う愛の強さ―というテーマはちゃんとあるが、だからと言って許されるものではない。私としてはお奨め出来るシロモノではないが、ハリウッドらしい見せ場はいくつかあるので、お暇ならお好きなように…とだけ言っておこう。        (