チューブ  (韓国:ペク・ウナク 監督)

 ダイナミックな快作「シュリ」の脚本と助監督を担当したペク・ウナクが初監督に挑戦した、ダイナミックなアクション巨編。地下鉄をハイジャックしたテロリスト・ギテク(パク・サンミン)と、その陰謀を阻止すべく地下鉄に乗り込んだチャン刑事(キム・ソックン)との対決を軸に、チャンに恋する女スリ(ペ・ドゥナ)もからんで息もつかせぬノンストップ・アクションが展開する。
 「シュリ」でも、「ピースメーカー」とか「パニック・イン・スタジアム」などのハリウッド映画から盛大にパクっていたが、本作でも思いつくだけでも、「サブウェイ・パニック」、「スピード」、「暴走機関車」、そしてわが「新幹線大爆破」などからいろいろといただいている。私はいつも言ってるが、面白く見せてくれるならパクリ、いただき歓迎派である。本作も、これくらいうまくいただいていれば申し分なし。秀作とはお世辞にも言えないが、スカッと楽しく、ちょっとホロリともさせてくれる、B級娯楽映画としてはよく出来ている。値段分は十分に楽しませてくれる快作である。
 うらやましいのは、こういう娯楽アクション映画の為に、冒頭では金浦空港を全面閉鎖したり、地下鉄構内のロケにも協力したりする、韓国の映画撮影に対する全面支援ぶりである(金浦空港ロケは、日韓合作「ソウル」でも実施された)。日本で例えば羽田空港を全面閉鎖して映画撮影が可能だろうか。ここらあたりも日本映画がもう一つ面白くならない理由のような気がする。