アイアン・ジャイアント  (ワーナー:ブラッド・バード 監督)

 これは傑作である。前評判が高かったので期待はしていたが、それ以上に素晴らしい出来であった。1957年、ソ連の人工衛星スプートニクが空を飛んだ頃、宇宙から落下したロボットと、森で彼を見つけた少年との心の触れ合い、ロボットを危険な存在として始末しようとする政府、軍隊との戦闘、そして最後は誤って発射され、町に向かって飛んでくるミサイルから少年(や一般市民)を守る為、少年と別れを告げ、ミサイルに体当たりするロボットの姿が感動的に描かれる。このラストには泣かされます。何より素晴らしいのは、地球に落ちたショックで記憶を失ったらしいロボットが、少年から言葉を学び、猟師に撃たれ死んだ鹿を見て悲しみ、生命あるものはいずれ死ぬ事を教えられ、そして自分自身が破壊と殺戮の為の戦闘マシンである事を知って悩むくだりである。だからこそ最後で自分を愛する少年の命を救う為、ミサイルに体当たりするロボットの献身愛が胸をうつのである。「E.T.」を始めいろんな映画からいただいたシーンも多いがそれらについては別項お楽しみはこれっきりだ)をご覧ください。なお、ロボットのデザインを担当したのは「ロケッティア」「遠い空の向こうに」などの監督、ジョー・ジョンストンである。その為か、この映画にはジョンストン映画の刻印がさりげなくちりばめられている。時代が'57年で、空にスプートニクが飛ぶあたりは「遠い空−」と同じだし、ロケッティアのマスクデザインはジャイアントと何となく似ている。まあこれは蛇足。
 ただ残念なのは、こんな傑作の公開がワーナー・マイカルシネマ・チェーンだけというのは疑問。その為私も一般公開では見られず、テアトル梅田のレイトショーでかろうじて見ることができた次第。こんな素敵で心温まる秀作は是非多くの子供たちに見て欲しいと思う。一考を要するのではないだろうか。       

 <付記> 本作のファンサイトと応援ページを見つけましたので以下に紹介します。
        公認ファンサイト 
 http://www.mnet.ne.jp/~isuta/igtop.html
        応援ページ   
   http://www.nifty.ne.jp/forum/fmovie/recommend/irong.htm