妖怪大戦争    (角川:三池 崇史 監督)

 旧・大映から経営権を譲り受けた角川映画が、大映のかつての話題作「妖怪大戦争」(68)をリメイク。…と言っても、前作は舞台が江戸時代だったのに対して、本作は現代が舞台。かつ、悪役に荒俣宏原作「帝都物語」で強烈な印象を残した魔人・加藤保憲(豊川悦司)を配しており、いろんな妖怪が登場する点を除いて共通点はなく、まったく別の作品として観るのが正しい。
 気の弱かった少年(神木隆之介)が、神社のお祭りで、伝説の“麒麟送子”に選ばれ、それが縁で妖怪たちと仲良くなり、やがて行きがかりから人類滅亡をたくらむ魔人加藤と対決することとなる。
 荒俣宏を中心に、宮部みゆき、京極夏彦、水木しげるら売れっ子作家たちが原案に参加しているのだが、船頭多くしてなんとやら、前作の、西洋妖怪ダイモンと日本妖怪の一大決戦―という分かり易い面白さに比べ、話がもたついて爽快さに欠ける。妖怪たちが戦いを好まないという設定もマイナス。互いの秘術と秘術のぶつかり合いをスピーディかつパワフルに見せてくれたら面白かったのに…。ラストもあっけなさ過ぎる。三池作品としては、前作「ゼブラーマン」の方が楽しかった。
 ただし、CGは素晴らしい。ろくろ首がニュルニュル伸びて神木に絡みつくシーンが中でも出色。竹中直人や忌野清志郎や岡村隆史らが扮した妖怪たちも楽しい。クライマックスの、日本中の妖怪が結集するシーンも壮観。ここはどうやら「スター・ウォーズ1/ファントム・メナス」を意識的に戴いているようだ(阿部サダヲ扮する河童のキャラクターがジャージャービンクスとそっくり(笑))。加藤の手下の妖怪女を演じる栗山千明も色っぽくてGOOD。
 まあお話としては今一つだが、そうしたCG特撮とパロディと言うかオマージュ、そして豪華なゲスト出演者など、そこら辺を見どころとして楽しめば良いのではないか。ただ、個人的には加藤保憲はもう一度、「帝都物語」で怪演した嶋田久作に演って欲しかった。豊川ではちょっと線が細かったと思う。