ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS  (東宝:手塚 昌明 監督)

 いまだに正月映画として延々と続いているゴジラ・シリーズの最新作。本作は、最近の作品では珍しい、前作(ゴジラ×メカゴジラ)の続編。と同時に、1961年の「モスラ」の正統な続編でもある…という変わった位置付けに、ゴジラフリークでもある手塚昌明監督らしい心意気が感じられる。なにしろ、'61年「モスラ」の実質主役だった中条博士を演じた小泉博が同じ役で出演しているのである。この中条博士が、インファント島の小美人と42年ぶりに再会する('61年作品のワンシーンが挿入され、ザ・ピーナッツもチラリと登場する)…というジーンと来るシーンも用意されていて、ファンには特に楽しい。そして、前作(ゴジラ×メカゴジラ)で大活躍したが本作では主役でない釈由美子がアメリカに派遣されるシーンも冒頭に用意し、これが前作の正統な続編である事を示す。こうしたシーンも、手塚監督の律儀さの表れであり、好感が持てる。
 そこで本編だが、前作で痛み分けとなった特殊戦闘兵器・メカゴジラ(機龍)を修理し、再度ゴジラと戦わせようとする自衛隊とゴジラとの再バトルという事になるのだが、これでは前作と似たり寄ったりである。そこでモスラを登場させて変化をつけようとしているのだが、このモスラの戦いぶりも前々作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」と同工異曲。モスラの子供のゴジラ退治方法も、「モスラ対ゴジラ」(64)と全く同じなのは、オマージュにしても面白くない。メカゴジラもモスラも、何回目の登場か数えられないくらい、出過ぎである。つまりはいろいろ工夫はしているのだが、パターンも怪獣の組み合わせも出尽くしてマンネリ状態になっていると言わざるを得ない。
 SFXは悪くないし、バトルシーンはなかなかの迫力だし、これまでのいろんな怪獣映画からの引用(一部ファンに人気のある、メーサー殺獣光線砲が登場したのにはニンマリした)もうまく散りばめられていて、手塚演出はよく頑張っていると言えるだろう。しかし、映画は一部の怪獣マニアの人たちだけのものではない。洋画で目の肥えたファンも納得させるものを作らなくては、日本映画はやっぱり…と批判されても仕方ないだろう。東宝怪獣映画を初期からずっとリアルタイムで観て来た私だからこそ、敢えて直言しておきたい。次回は50周年だそうだが、次回は是非、ストーリーも練りに練って、アイデアと豊かなイマジネーションで映画ファンをうならせて欲しい。それと、「ハム太郎」との併映はもう止めて欲しい(劇場に入るのに苦労するよ)。まあ個人的にはいろいろ楽しませてもらったので、点数はやや甘めに…。