DUEL・対決:「2LDK」/「荒神」 (ザナドゥー:堤 幸彦/北村 龍平 監督)

 「対決」というテーマで、二人の監督が競作した、2本立てプログラム。
 「2LDK」(堤幸彦 監督)は、1つのマンションに同居している2人の女性タレントが、ライバル意識から始まった、ちょっとした口論がきっかけで、やがて凄まじいバトルに展開して行く…というストーリー。演ずるは「愛を乞うひと」で好演した野波麻帆と、本年の「恋愛寫真」のエキセントリックな演技も記憶に新しい小池栄子。さまざまな日常的小道具を武器に、どんどんエスカレートして行く対決は面白いが、女性同士の喧嘩ってこれまでも「「天使の欲望」(関本郁夫監督)や「陽暉楼」(五社英雄監督)などでも描かれているように、どれもかなりエグい(笑)。まあちょっとブラック・ユーモア的な味付けもあって、あまり好きでない堤幸彦作品中ではまあまあの出来。
 「荒神」(北村龍平 監督)は戦国時代を舞台に、傷を負って山寺にやって来た武将(大沢たかお)と、寺に住む不死身の荒神(加藤雅也)とが対決する。「VERSUS」や「ALIVE」の新進・北村龍平監督だけあって、ワイヤースタントも使った決闘シーンはなかなかの迫力。ただ前2作のアクションと同工異曲で新鮮味には乏しい。悪くはないのだが、前作を上回る斬新なアイデアを見たかった…というのは期待ゆえの無いものねだりか。とは言え、なかなかプログラム・ピクチャーが作られにくいこの時代に、立て続けに監督作品が公開される北村監督は強運である。無数のB級アクションを撮り続ける中で大物になって行った深作欣二のように、北村龍平も映画を撮り続ける過程で、着実に力をつけ、やがては世界をアッと言わせる傑作を発表してくれる事を期待してやまない。