ミニミニ大作戦   (米:F・ゲーリー・グレイ 監督)

 '69年にイギリスで作られた、ピーター・コリンソン監督による同名作品のリメイク。前作はトボけた味わいの佳作として印象に残っている。今回はたっぷり予算をかけ、前作の面白さをうまく引き継いで、気軽に観れるエンタティンメントとしては上出来の作品となった。前作同様、ミニクーペが地下道を走るのもいい。冒頭のベニスの運河を利用したボートチェイスも迫力がある。最近の「マトリックス・リローデッド」や「ターミネーター3」などのやや入り組んだ作品を観た後では、そのバカバカしい単純さ(誉め言葉です)、後に何も残らない爽快さが却っていさぎよくて好きである。
 注文をつけるとすれば、前作がラストもイタリアのトリノの地下水道を舞台としていたのに対し(原題は"Italian Job")、本作は何故かロサンゼルスが舞台。また前作はミニクーペが屋根の上も走り回っていたと記憶しているが、本作は地下道のみ。それと悪役を演じるエドワード・ノートンに悪役としての凄みが欠けていたように思う(ゲーリー・オールドマンかアラン・リックマン・クラスが欲しいところ)。ついでだが、前作と同じ邦題も、最近のようにカタカナ原題よりはマシだが、なんとなくB級作品かおフザけコメディを連想してしまい、興行的にはマイナスである(それにしても、'69年当時はなかなかシャレた題名だと思っていたのだが、現在聞くとなんとなくダサく感じられるのは何故?)。…と、いろいろ言ったが、肩の凝らないエンタティンメントの快作として、イチ押ししておきたい。おススめ。