火山   (韓国:キム・テギュン 監督)

 最近の韓国映画のパワーは凄い!。数年前の「シュリ」ではハリウッド・アクションに挑戦し、「JSA」では一級の政治サスペンス・アクションを作り、「友へ チング」では我が「ビー・バップ・ハイスクール」+「その後の仁義なき戦い」とでも言うべき青春ヤクザ映画の佳作を作る…といった具合に(まあ悪く言えば諸外国の傑作のパクリなのだが)、熱気に溢れたパワフルな力作が連発され、一時の香港映画の如き活況を呈しているようである。
 そんな中、やっぱりやってくれました、「マトリックス」+「柳生武芸帖」+「魁!男塾」(笑)。それが本作である。冒頭のナレーションには大笑いする。「教師の乱が終り、戦国となった学校で、秘伝書『師備忘録』をめぐり熱い戦いが巻き起ころうとしていた。時に火山108年!」…これだけでいかにデタラメな映画であるかよく分かる。後はご想像通り、ワイヤー・アクションとCGを多用したノンストップ・アクションのつるべ打ち。日本人も知ってる漢字がどんどん画面に出るので(例えば「退学」!等)我々には余計なじみ易い。
 ただ、残念な事に、最初から最後まで似たパターンのアクションの繰り返しでやや単調。もう少しアクション・シーンにバリエーションを持たせるか、あるいはマンガと割り切ってもっと荒唐無稽でナンセンスなアクションを増やせばなお面白くなったのでは…と思う(その点は「少林サッカー」の方が数段上であった)。
 それと、もっとくやしいのは、「少林サッカー」にしろ本作にしろ、みんな日本のマンガからいただいているものばかり。日本マンガは「北斗の拳」や「アストロ球団」や「侍ジャイアンツ」など、CGと実写で映画化すればほとんど前述作品に匹敵するくらいムチャクチャ・ナンセンスな快作が多い(「巨人の星」を入れてもいい。スポ根マンガの面ばかり強調されているが、よく考えればあの魔球はかなりナンセンス(笑)である)。これらをCGを駆使して超オーバーに演出すれば凄い傑作になる気がする。そういう企画を思いつくプロデューサーがいないものか。ヒットすると思うのですがね。