ピーター・パン2
ネバーランドの秘密 (ディズニー:ロビン・バッド 監督)
あの不朽の名作「ピーター・パン」の、50年ぶり(!)の続編である。1作目は、私も子供時代に夢中になって観ていた。そして、私の子供が4〜5歳の頃、テレビで放映された1作目を見せてあげたところ、もう大喜びで「ピーターパンまた見せて」と何度もせがまれ、テープが擦り切れるまで何十回となく見せてあげたものである(冗談ではなく、本当にテープが傷んでしまったのである(笑))。それほどまでに、この1作目は子供たちに夢を与える素晴らしい傑作なのであった。
そんなわけで、本作が公開されるや、今では大人になった子供たちと家族揃って観に行ったのである。
時代は前作より十数年後。ウェンディは大人になり、二人の子供がいる。時は第2次大戦下で、父親は出征し、ロンドンは連日空襲にさらされ、子供たちは明日から田舎に疎開しなければならないという状況(んー、日本とよく似ている。窓ガラスには×型に紙が貼ってあるし…)。そんな中で家族を守る長女ジェーンは現実を直視せざるを得なく、今もピーター・パンを忘れられない母ウェンディに、「もっと現実を見て」と言うくらい大人になっている。ウーン、こりゃ今なら、ジェーンが正しくて、現実逃避のウェンディが間違っているという事になるのでしょうね。
そんな時、突然フック船長が海賊船と共に現われ、ウェンディと間違えてジェーンをネバーランドに連れて行くところから、新しい冒険物語が始まるのである。ジェーンを現実型にした所がミソで、彼女が妖精なんか信じない…と言った事からティンカーベルがみるみる元気を失って行き、このジェーンがいつ、夢を信じられるようになるか…という点がキーポイントとなっている。
さすが、この50年間のアニメ技術の進歩は素晴らしく、絵はすごく美しく、動きはCGを多用して実に滑らかである(予告編を観ただけでも凄さが分かる)。キャラクター・デザインも、1作目とまったく変わっていないのもうれしい。お話は基本的には前作とほとんど同じで、船長の天敵がワニからタコに変わっているくらい。続編というよりは新技術によるリメイク…と言ってもいいかも知れない。前作を知らない子供たちには、十分楽しめる作品となっている。
…と誉めたうえで、ここから先はややネタバレがあります。未見の方はご注意ください
最近のディズニーは、ネタ切れなのか、やたら過去の名作の続編が目立つ(「美女と野獣2」とか「アラジン」や「ノートルダムの鐘」の姉妹編だとか)。まあほとんどビデオ版だが…それなりに意味があればいいのだが、二番煎じ的なものが多すぎてほとんど続編を作る意義はないように思える。だいたい、名作の続編にはロクなものがないのである。本作も、前述のように前作をなぞっているような内容で、新味はない。特にタコは、ギャグもほとんどワニの焼き直し。それに、船長の腕を食べてその味が忘れられない…というワニに比べて、タコが船長を追いまわす根拠が弱い。それと、なぜフックの海賊船が空を飛んでロンドンに現れる事ができたのか、その理由が解からない。舞台を戦争中にしたのもあまり生かされていない。
…と不満もあるが、しかしやっぱり観ている間は楽しく、現実を忘れて魅入ったのも事実である。特にラスト、ピーターとウェンディが再会するシーンはこちらもジーンと来てしまった。続編としては、まあ良いほうではないかと思う。なお、本編の前におマケとして、プルートが活躍する10分ほどの短編が付いている。これも昔はよくあった方法で、なかなかよろしい。このサービスで星一つおマケすることとする。
()