ゴジラ×メカゴジラ (東宝:手塚 昌明 監督)

 今回で26作目となるゴジラ映画の新作。金子修介が監督した前作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」がハードな作りで、併映の「ハム太郎」を観に来たちびっこたちを怖がらせたせいでもあるまいが、今回は子供が観ても楽しめる出来となっている。…とは言っても、前々作「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」('00)でデビューし、目の肥えたファンからも好評だった手塚昌明監督だけに、これも大人の鑑賞にも十分耐えるレベルに仕上がっている。
 本作は、1954年の第1作「ゴジラ」のまったくの続編(ここ数作、そんな作りの作品が多い)である。第1作で、オキシジェン・デストロイヤーにより溶かされてしまったゴジラの骨が発見され、そのDNAをサンプリングして作られた究極の対ゴジラ兵器・メカゴジラとゴジラとの一大バトルが描かれる。今回の特徴は、ゴジラとの対決に執念を燃やす女性自衛隊員(釈由美子)が、まさにヒーロー(ヒロインとは言わない)として、メカゴジラを操作しゴジラに立ち向かう、そのカッコ良さにある。クライマックスでは釈が遠隔操作不能になったメカゴジラのコクピットに直接乗り込み、大格闘が繰り広げられる。まさにガンダムか、はたまた機動警察パトレイバーか…といった所である。「修羅雪姫」というワイヤースタントを駆使したスーパーアクション映画でも派手に暴れまくった釈由美子がここでも大健闘(メカゴジラによじ登るシーンは押井守の傑作「機動警察パトレイバー・劇場版」のラストを彷彿とさせるカッコ良さ)。夕陽を背景に屹立するメカゴジラ…という、名作「ガメラ・大怪獣空中決戦」のワンシーンを思い起こさせる印象的なシーンも見逃せない。ファンへのサービスとしては、1作目「ゴジラ」や「モスラ」、「サンダ対ガイラ」などの名作のフィルムの1シーンも登場するのでここらもお楽しみ。ゴジラにゆかりの俳優のカメオ出演(懐かしや、水野久美さんも!)も楽しい。傑作という程ではないが、こういったサービスシーンもあるので、ゴジラファンは必見である…と言っておこう。