スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃  (20世紀フォックス:ジョージ・ルーカス 監督)

 うーん……  前の「エピソード1」を見た時も感じた事だが、「アメリカン・グラフィティ」「スター・ウォーズ(エピソード4)」という大傑作で我々を感動させたジョージ・ルーカスは、何処へ行ってしまったのだろうか。…確かにSFXはすごい。…だが、映画というものは、凄いビジュアルがなくても、物語だけでも面白くて、さらにSFXがそれを補強する…という作り方が正しい−というのが私の持論で、最初の「エピソード4」は物語を読むだけでもワクワク感動したものだった。…だが前作、そして本作とも、SFXを抜いたらまったくつまらない出来でしかない。そのSFXも、夥しい数のエアカーが空中に並んでいたり、それらの間を縫っての空中カーチェイス…というシーンも、リュック・ベッソンの「フィフス・エレメント」がとっくに描いているので取り立ててインパクトはない。未来都市の描写も「ブレード・ランナー」の頃から進歩していないし、第一、やっと敵の刺客を捕らえ、白状させようとしたら何処からか吹き矢が飛んで来て殺される…という、いまどきテレビの時代劇でも笑われそうな古いネタを使っているのには頭を抱えてしまった。センスが悪過ぎる。前作の批評でも書いたが、アナキン(ヘイデン・クリステンセン)がやがて悪役ダース・ベイダーになるのが分かってて見るのはつらいものがある。「エピソード4」が面白いのは、悪役は徹底して悪く、最後に滅び、正義は徹底して正義であり最後に勝つ…という正統エンタティンメントの鉄則を守っているからなのである。いずれ作られる「エピソード3」も、ハッピーエンドにはなりそうもなく、むしろこれら3作を通過して「エピソード4」を見直したら、ダース・ベイダーの正体を知っているだけに、とても最初に見た時ほどには感動できないだろう。いや、せっかくの初作の感動がぶっ飛びそうで、それならむしろエピソード5〜6〜1〜3・・・は、作らなかった方が良かったのではないか…とすら思ってしまう。「もうここには旧3部作で胸弾ませた、夢とロマンとアドベンチャーはほとんど感じられず、量としての殺し合いが延々とあるだけ(略)ルーカスは、映画人からゲームの仕掛人に変わってしまった」という北川れい子さんの批評(キネマ旬報)に私は全面的に賛同する。…といろいろケナして来たが、見どころは懐かしやクリストファー・リーの貫禄たっぷりの怪(?)演と、ヨーダのライトセイバーを使ってのカッコいいチャンバラ・シーンなどであり、ここらは見ものである。なんだかんだと言っても見ておいて損はない。…しかし、採点はワーストすれすれ…の辛い点数になるのは仕方がない所である。