少林サッカー  (香港:チャウ・シンチー 監督)

 あッハッハ〜 (^▽^)/  大笑い。楽し〜い。・・・もうそれに尽きます。
 それだけでは批評にならないので、何故面白いかを説明します(本当は何も考えずに楽しめばそれでいいのですが…)。
 これは、私がこれまで「メッセンジャー」評、「ウォーターボイズ」評その他で何度も述べて来た、“正しい娯楽映画”のパターンをそのまま持ち込んだ映画である。くわしくは前記批評を参照して欲しいが、簡単に言って、『落ち目のグループが力を合わせて強大な敵に逆転勝ちする』という縦糸(ストーリー)に、笑い、涙、友情を絡ませ、クライマックスのサスペンス、最後は大逆転勝利(ついでに主人公のカップル同士の愛も成立する)に至るハッピーエンド映画…の事である。私が前記の映画で強調したこれらの要素がピタリ含まれているのがお分かりだろう。だから当然面白いのである。しかし“香港の喜劇王”と呼ばれるチャウ・シンチー、通常のスポコン劇画的に描いても十分面白いのにそれに飽き足らず、さらにCG
特撮をフル活用して、ほとんどナンセンスマンガ…にまでデフォルメしてしまった。目の中に炎がメラメラ、ファイトを燃やすと背後に炎が広がり、筋肉強化剤でサイボーグ化した敵の放つシュートは鉄柱をへし曲げ、ボールの走った跡は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンの如く炎が走り、さらにはハリケーンの如く嵐が巻き起こる・・・といった過激ぶりで、もうほとんどチャック・ジョーンズ描くカートゥーン(短編ナンセンス・アニメを主に指す)の世界である(笑)。CGの使い方は、むしろこの方が正しい…と思わせるくらいである。かなり日本のスポーツ劇画(特に「キャプテン翼」と「アストロ球団」も?)や、アメリカのカートゥーンを研究したフシが窺える。ここまで徹底されると、参りました・・・と言う他ない。こういう過激なまでのサービス精神、日本映画も見習って欲しい。とにかく、今年最高に笑える、楽しいエンタティンメントの快作である。もし日本で作るとしたら?私の希望では、「アストロ球団」を三池崇史監督で映画化して欲しい。絶対面白くなる…と思うのだが…無理、かな?