ピンポン  (曽利 文彦 監督)

 昨年の映画賞を独占した「GO」の主演(窪塚洋介)・脚本(宮藤官九郎)コンビが、またまた青春映画の快作を誕生させた。卓球の魅力に取り付かれた若者たちが、全国大会で対決する…それだけの物語なのに、登場人物がそれぞれ個性的に描き分けられ、躍動するテンポ、CGを絶妙に駆使した試合シーンの息づまる迫力、そして熱い友情…と、これが初の長編とは思えない曽利文彦監督の演出も見事である。そして、役者たちもみんな実に個性的で魅力的である。主役のペコを演じる窪塚洋介は、「GO」「ランドリー」と、1作ごとに違う役を演じ分けているのが凄い。スマイルを演じるARATAも、飄々としていながらも存在感がある。そしてドラゴンを演じる本職は歌舞伎役者の中村獅童…この人は絶対将来ブレイクすると断言しておく。その他も、アクマ役の大倉孝ニ、リーダー格の荒川良々もそれぞれいい。ついでに、卓球場を経営するおババを演じる夏木マリもいい(ただ、竹中直人はちょっと出過ぎで食傷気味…)。試合のシーンは、これがCG?と思ってしまうほどリアル(しかし実際にはとても無理(笑))で、こういうCGの使い方こそ正しいのかも知れない(しかし冒頭の「マトリックス」を思わせる使い方には度肝を抜かれる)。既成曲を絶妙に配した音楽も出色。新しい日本映画の時代の到来を予感させる、これは素敵な秀作である。