ビューティフル・マインド (ドリームワークス:ロン・ハワード 監督)

 ロン・ハワードは本当に堂々たる一流監督になってしまった。遂にアカデミー監督賞受賞である。この人もスコセッシやコッポラやジョナサン・デミなどと同じロジャー・コーマン学校出である(デビュー作はコーマン製作の「バニシング・IN・TURBO」)。つくづくロジャー・コーマンの人材育成の確かさには敬服せざるを得ない(単に映画を作りたい若い人をコキ使っただけだという説もあるが(笑))。
 まあそれはともかく、本作は、実話を基にした実名ドラマであるにもかかわらず、本人の病気を伏線にしたミステリー的な要素も加え、謎めいたサスペンスにもなっているという巧妙な作品である。その分映画としても面白く、かつ最後には感動の夫婦物語として見事にまとめている。脚本もよく出来ているが(こちらもアカデミー脚色賞を受賞)、これを成功させたハワードが監督賞を受賞するのは当然と言えよう。あまりくわしくは話せないが、反則スレスレの事をやっている(このごろ、こういう荒技を使うケースがアメリカ映画に多い)。実話の伝記から、こんな手を思いつくアメリカ映画の、ある意味すごさを思い知らされる。…まあ私がこんな事を書いたと言っても、見る時は余計な事は考えないでくださいね。