地獄の黙示録 <特別完全版>  (米:フランシス・コッポラ 監督)

 22年前に見た時も、凄い!と感じたが、今回新たに53分もの未公開シーンを追加編集した本作を見て(こちらが歳を食った事もあるが)、前回よりもさらに感銘度は高まった。未見の人は無論のこと、前回見た人も、さらにこれをビデオでしか見ていない人には、絶対のおススメである。
 追加されたのは、ウィラードたちがキルゴア大佐の元から去る時に、彼の愛用のサーフボードを失敬するシーン(これでキルゴアのやり方にウィラードが批判的な事がより鮮明になる)、プレイメイト・ダンサーたちがガス欠で不時着している所に遭遇し、ガソリンを分ける代わりに彼女たちと寝るシーン、そしてかつてベトナムを侵略し、今は入植者として居座っているフランス人たちのグループと出会うシーンなどである。これらが追加された事によって映画の流れがスムースになり、コッポラの、この戦争に対する思い、戦争侵略者たちへの批判度がより鮮明になっている。また、湾岸戦争を経て9.11を通過し、アフガンに爆弾を落とし続ける、今のアメリカの姿も重ね合わせ、今見てこそ、“戦争”とは何か…を考えさせる、とてつもない力作であることを実感させられる。
 冒頭の、ヘリのプロペラ音と扇風機の音が重なり、そこにドアーズの「ジ・エンド」がカブるシークェンスはゾクゾクさせられる。“ワルキューレの騎行”が響く中の攻撃シーンは何度見ても震える。これはビデオではなく、絶対に劇場で“体感”すべきである。ビデオの数十倍も感動すること請け合いである。必見!。