ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 (東宝:金子修介 監督)
平成「ガメラ」シリーズで、怪獣映画を大人も楽しめる水準作に仕上げた金子修介が、念願のゴジラに取り組んだ。そして、今回もやってくれます。
冒頭から「アメリカでもゴジラと呼ばれた怪獣が暴れたが、あれはゴジラじゃない」と一発カマします(笑)。そして、ゴジラの顔が、コワい!。なにしろ、“白目”である(深作欣二「魔界転生」の亡霊柳生但馬守を思い起こさせる。あれも白目でコワかった)。それに、強い。情け容赦ない。ちっこいバラゴンを容赦せず痛めつけます。人間もどんどん殺します。… 1作目の「ゴジラ」(54)を見た時の恐怖が蘇えります(ホント、あれを子供の頃見た時は泣きそうになるくらいコワかった)。
人間のドラマもちゃんと出来ている。宇崎竜童の父親と新山千春の娘との、それぞれの仕事に対する真摯な姿勢が核となり、クライマックスに向けてダレる所がない。
金子修介は、“平成ガメラ”で確立した独自の怪獣映画パターンをゴジラにも導入しており、その点ガメラ映画を見てきたファンから見ればインパクトはどうしても弱いが、「ガメラ」が“人間の味方”であったのに対し、こちらはゴジラを徹底徹尾、悪役としての“恐怖の大王”、恐るべき災厄の象徴として描ききっている点、やっぱりこれはこれで見応えがある。最近ほとんど見られなくなった“怖い怪獣映画”を作り上げただけでもこれは評価されるべきである。
ラストはちょっと問題ありだが(体内は原子炉じゃなかったか?)、その点を割り引いても、間違いなくゴジラ映画の中ではベスト2位(1位は無論’54年の1作目)に入る傑作である。
それにしても、こんなコワい映画を「ハム太郎」と併映するなんて、東宝の営業は何を考えてる!!。本格大人向けで売るべきだろうが(脚本段階で子供に向かないというのは分かったはず。それとも内容も確認せずに「ハム太郎」と組ませたんでしょうか?)。おかげでこちらは劇場に入る時、かなり勇気がいったぞ!。 ()