ファイナルファンタジー (スクエア:坂口 博信 監督)

 大人気ゲームを、オールCGで映画化したもの。私はゲームは全くやらないので、FFなるゲームがどんなのか知らない。まあ最新作がかなりリアルな3DCG作品であるくらいの知識はあるが…。映画とゲームは全く別物であるから、本作については映画としての出来のみで評価することとする。
 まず、
CGに関しては確かに凄くリアルで、顔の表情、髪の毛の風になびく様子、動きなどもほとんど実写と変わらない。シーンによっては実写と錯覚するくらいである。しかし全体を通して見ると、どうしてもCGっぽい感じが払拭されていない。映画としてみるなら、やはり生身の人間が演じた方が違和感がなかっただろう。まあこれはゲームの製作者でもある坂口監督の、どこまで実写に迫れるか…という実験でもあった訳で、その意味ではまずまず成功と言えるだろう。
 しかしストーリーはちょっと中途半端である。タイトルにあるように、ゲームの方は本来ファンタジー(魔界とか、妖獣が登場する)であったと思われるのに、本作は意外にもハードSFの体裁を取っている。隕石に載って地球にやって来た、ファントムと呼ばれる敵との戦い(近日公開の「エボリューション」に似ている)を描くのだが、この敵の正体がエイリアンとも妖怪ともつかない存在(ファントムなら幽霊?)であるし、それを退治するのに何故8種類の生命体が必要なのかも意味不明。ヒロイン、アキがいつも見る夢が、現在の戦いとどう関連するのかも不得要領である。坂口監督、もっと単純にすればいいのに、なんでこんなにややこしい話にしたのか?結局最後まで不得要領さはつきまとうので、終わっても爽快感がない。掲示板でも圧倒的に不評である。アメリカ興行でもかなり低調だったし、日本での公開も多分不成功に終わるだろう(封切3日目に見たが、ガラガラだった)。175億円とも言われる製作費の回収は、映画だけでは困難と思われる。だが、ここで使われたノウハウや機材は次のゲーム作りに行かせるだろうから、製作会社のスクエアとしては大したダメージではないかも知れない。
 しかし、爽快なSF映画だと思って1,800円の金を払った観客としては、こんな実験に付き合わされただけだったと知れば怒るだろう。私は1,200円の前売券を買ったけど、CGには感心したので、この値段分くらいならまあ損をしたとは思わない。評価としては
といった所でありましょうか。