ドリヴン (レニー・ハーリン 監督)

 「クリフ・ハンガー」コンビの主演シルベスター・スタローン、監督レニー・ハーリンによるカーレースもの。最近はあまり見かけないが、昔はスティーブ・マックイーン主演「栄光のル・マン」、ポール・ニューマン主演「レーサー」、も一つ古くはジョン・フランケンハイマー監督、三船敏郎も出ていた「グラン・プリ」など、この手のものは結構あった。絵としてはスリリングで見せ場も多いだけに、もっと作られてもいいのではないかと思う。
 今回はスタローン自身が脚本を担当。お話は、彗星の如くデビューしながら、自信をなくしかけている若手レーサー(キップ・パルデュー)を立ち直らせる為、オーナー(なつかしやバート・レイノルズ)に雇われた元チャンピオン(スタローン)が、若者を励まし、元気づけてやがてレースに勝利するまでを描く。うーむ、昔からよくある分かりやすいパターンですね。黒澤の「野良犬」とか、クリント・イーストウッド監督「ルーキー」なんかとも似ている。スタローンもそういう老練先輩を演ずる歳になったわけか。自分で脚本書いているせいか、ぐっと控え目でパルデューを立て、しかしおいしい所はさらう、うまい作りである。ハーリン演出はCG特殊効果も加えてダイナミックかつテンポよくまとめている。レーサーものとしては気楽に楽しめる、よく出来た水準作。難を言えばCGのクラッシュ・シーンがいかにもCGっぽくて、映画と言うよりはコンピュータ・ゲームの画面を見ている感じがしましたね。