ハムナプトラ2 黄金のピラミッド  (ユニヴァーサル:スティーブン・ソマーズ 監督)

 前作は「インディー・ジョーンズ」ばりのノンストップ・アドベンチャー・アクションとしてスマッシュ・ヒットした。オリジナル(「ミイラ再生」)は本作とは全く手触りの違う、「フランケンシュタイン」と並ぶ怪奇ホラーだったのだが、これをILMの特殊効果をふんだんに盛り込み、今風にしたのが大正解。で今回も特殊効果はさらにパワーアップ、その上冒頭とラストには、これまた「スパルタカス」かソ連版「戦争と平和」を思い起こさせる、何万人もの軍隊が激突する大戦闘シーンが登場するというサービスぶり(一部はCGで水増ししているのかも知れないが、ほとんど気付かなかった)。こういうのはホント、久しぶりに見た気がする。お話の方は次から次へとSFXを使った見せ場が連続し、見終わったらほとんどストーリーが思い出せないくらい目まぐるしい展開であるが、暑さしのぎには持ってこいの娯楽作品である。
 で、ここから先は私の個人的な感想だが、これはひょっとしたらあの人形アニメの巨匠、
レイ・ハリーハウゼンへのオマージュ作品ではないかという気がしている。ラスト間際に登場する巨大サソリ人間“スコーピオン・キング”の造形がハリーハウゼンの「シンドバッド」シリーズの怪人たちと似ている(ただし動きはCGのおかげでぐっとなめらか)し、灰からイムホテップが作ったミイラ戦士との格闘シーンは「アルゴ探検隊の大冒険」に登場するガイコツ戦士との戦闘シーンを彷彿とさせてくれる。そう言えば全体のトーンがなんとなく“アラビアンナイト”風でもあるし…。ハリーハウゼンのような手間と時間のかかるクレイ・アニメはSFXの手段としてはほとんど消滅したようで(アードマン・プロの作品は別)、そう思うと時代の流れに一抹の寂しさを感じる。・・・のは私がトシをとったセイでしょうか。