タイタンズを忘れない  (ディズニー:ボアズ・イェーキン 監督)

 またまた実話ものである。この所アメリカ映画には実話の映画化が特に多い。フィクションのネタも出尽くした感があるし、実話の方に感動的でドラマチックなエピソードが多いのも事実だろう。今回は'70年代初頭の、まだ黒人差別意識が根強い時代に南部(特に差別がひどい地域)の高校で、白人選手と黒人選手のフットボール混成チームが作られ、最初は反目していたが、やがて仲間意識が芽生え、遂に優勝するまでの物語で、これは確かにドラマチックで感動的である。フィクションなら“そんなにうまく行くか”とケチをつけられそうな話であるが、実話であると謳うだけで説得力もあることとなり、トクである。黒人コーチのデンゼル・ワシントンがいつもながらうまいし、合宿練習の途中に彼が、近くの南北戦争の激戦地に案内し、差別したりいがみ合うことのむなしさを訴えるエピソードがよく効いている。最後の決勝戦シーンもハラハラさせ、スリリングな展開でうまく盛り上げている。
 小品だけど、見終わった後、ジワリと感動がこみ上げてくる。実話ではあるが、例の“最初はいがみ合っていた弱小チームが力を合わせて最後は優勝する”
というウェルメイド・エンタティンメントのパターンもちゃんと踏まえているあたりがうまいのである。ちなみにプロデューサーは「アルマゲドン」と言うよりも「フラッシュダンス」のジェリー・ブラッカイマーである。