ガール・ファイト  (カリン・クサマ 監督)

 これ、設定は「リトル・ダンサー」のまるまる裏返しなのですね。かたや「男がバレーをするなんて」と父親に猛反対される少年の話、こちらは「女がボクシングをするなんて」と猛反対される少女の話で、どちらも彼(彼女)の才能を見抜いたコーチの助力でその夢を達成するという所まで似ている。まあそういう、男女の垣根がどんどん取れて来ている時代を反映していると言う事なのだろう。で、こちらの作品の素敵な所は、最初は世間に拗ね(オープニングの三白眼でこちらを睨むシーンが凄い)、常に苛立っていた少女が、自分の目的を見つけて黙々と練習を積み重ねるうち、どんどん可愛くなって行く所で(出だしと同一人物と思えない程可愛いのだ)、おまけにジムの同僚の少年と恋までしてしまう。ところが運命のいたずらで決勝戦でその少年と対戦する事になる。これはどちらもつらい。さあ、どうなったかは映画を見ていただきましょう。ファイト・シーンはなかなかの迫力だし、テンポもいい。爽やかな余韻の残る佳作である。ちなみに監督は日系の女性監督である。