岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説  (宮坂 武志 監督)

 早くもシリーズ6弾。今回は原作の中でもハチャメチャぶりでは一番の「岸和田のカオルちゃん」の映画化。このカオルちゃんというキャラクター、ゴリラかフランケンシュタインかというまさに怪物なのだが、これをなんと!竹内力が演じると聞いてちょっと心配した(原作本の表紙に描かれたカオルちゃんの顔は、コニシキと園山俊二の「花の係長」を足して2で割ったようなエグい造形であった)。しかも時代は彼の中学〜高校生時代、つまり15才!の時というのだから余計心配になる(竹内が15才に見えるか!)。しかし映画は思ったより楽しめた。カオルちゃんをいつもつけ狙う高校生を演じた田口トモロヲの怪(!)演にも助けられているが、脚本(最近好調のNAKA雅MURA)が思い切ってカオルちゃんが密かにあこがれる女子高生に対する、彼の意外な純情ぶりを中心に据えた構成にしたおかげで、かつての曽根中生の快作「嗚呼!花の応援団」を思わせるバンカラ高校生の愛と純情の青春映画に仕上がっていたのである(そう思えばカオルちゃんのキャラクターは「−応援団」の青田赤道に近いような気がする)。期待していなかった分だけ、意外な拾い物であった。同時に、シリーズ1作目から感じていた、このシリーズは鈴木清順の傑作「けんかえれじい」に始まる、バーバリズム青春映画の系譜に繋がる作品であるという認識がさらに確固たるものになったという点でもこれは記憶されるべきだろう。