チキンラン  ドリームワークス:ニック・パーク/ピーター・ロード 監督)

 凄い!すごい!あの「ウォレスとグルミット」のアードマン・プロ/ニック・パークがまたまた凄い傑作を作った。もう最初から最後までワクワク、興奮、感動の嵐。昨年の「トイ・ストーリー2」に匹敵(いや上回るか?)するアクション・アニメの快作である。アニメ・ファンのみならず、アクション映画ファンも大満足する素晴らしい傑作。・・・とばかり言っていても前に進まないので一応解説すると、・・・ 
 お話は、養鶏場に収容されているニワトリたちが、自由を求めてさまざまな知恵を絞り、最後に脱走に成功するというものだが、映画ファンならすぐ判る、全編が「大脱走」のパロディである。何度も脱走を試みては連れ戻される主人公ジンジャーが、マックィーンばりに独房でボールを壁に投げ付けていたり、地下にトンネルを掘ったり、オートバイならぬ三輪車が鉄条網を飛び越えたりのシーンに笑わされるが、その他にもいろんな収容所映画へのオマージュが網羅されているので、いくつ見つけられるかも楽しみである(主人公たちが謀議する小屋の番号が、No.17である。あれですね)。突然空から落ちて来た雄鶏のロッキーを救世主と思い込んでいたら実は・・・というあたりは「バグズ・ライフ」から「ギャラクシー・クェスト」に至るニセモノ救世主が最後に本物になるお約束パターンである。廃品を寄せ集めて飛行機を作り離陸するラストのクライマックスは「飛べ!フェニックス」ですかな?この後の斧を振り回すぶら下がり大アクションもやはりロバート・アルドリッチのあの快作がヒント?・・・
まあそんな過去の映画を知らなくても十分楽しいが、知っておればさらに楽しい。オールCGの「トイ・ストーリー」に比べこちらは手作りのクレイ・アニメで、その分アナログ的な温かみが感じられるのもいい(しかしもの凄い数の粘土のニワトリを1コマづつ動かすのは大変な手間だろう)。ニック・パークはこの後、「ウォレスとグルミット」の長編版にとりかかると言う。これも大いに期待である。