ギャラクシー・クェスト  ドリームワークス:ディーン・パリソット 監督)

 ふぁっはッは。面白いという評判は聞いていたが、本当に面白い。20年前、テレビシリーズとして人気を博した宇宙冒険ドラマ「ギャラクシー・クェスト」の出演者たちが、現在では出演作もなく、落ちぶれてかろうじて当時の扮装で熱狂的ファンの大会などに出場して生計を立てている状態。ところが宇宙でこのTV電波を傍受した弱い宇宙人たちが彼らを本物のヒーローと勘違いして邪悪なエイリアンたちとの戦闘の助っ人として宇宙に連れて行く・・・というストーリーを聞けば、これほとんどジョン・ランディスの傑作コメディ「サボテン・ブラザース」のSF版である。しかしシチュエーションの無理のなさ、SFコメディとしての出来としてはこちらの方が面白い。何よりギャラクエのメンバーたちが、落ちぶれた現状に嫌気がさしてドサ廻りを止めたがっている設定であるのがいい。そんな彼らが宇宙に連れて行かれて、いくらドラマだと言っても(つまり自分たちはヒーローなんかじゃないと言っても)嘘やフィクションの存在を知らないお人好し宇宙人には判ってもらえず、やむなくエイリアンと戦ううちに、やがて本気になって敵と対決し、真のヒーローに変身して行くあたりがとても感動的である。
 言ってみれば、「スター・トレック」や、トレッキーと呼ばれる熱狂的ファン等のパロディでありおふざけコメディなのだが(転送装置を使ったギャグは抱腹絶倒)、単にパロディとして笑えるだけでなく、弱い、あるいはニセモノであり、かつ落ちぶれていた人たちが、困難を乗り越える事によって勇気と尊厳を取り戻し、本物以上に本物になって行くというドラマをきっちりと描いている点が素晴らしい(ポロポロチームが最初はヘコんで、やがて結束して再チャレンジして逆転勝利を収めるという娯楽映画の王道パターンもちゃんと踏まえている!)。元ネタを知らなくても十分面白いし、知っていればまた余計楽しめる。それにシガニー・ウィーバーやアラン・リックマンという大物スターが楽しそうに快演しているのも立派。エイリアンやクリーチャーのデザインが大作SFで有名なスタン・ウィンストン、SFXがI.L.Mとスタッフも豪華。SFファン、コメディ・ファン、パロディ好きな人、それぞれが楽しめるこれは素敵な快作である。