シャンハイ・ヌーン (米:トム・ダイ 監督)

 着想としてはわが三船敏郎主演「レッド・サン」とほぼ同じである。しかしうまいのは、弁髪のジャッキーがインディアンと間違われるくだりで、そういえば顔も三つ編みの髪もインディアンとよく似てますね。よく考えたら、中国で誘拐された姫の人質交換をアメリカ大陸でやる理由がも一つ分からないのだが、一度は西部劇に出たかったジャッキーの気持ちは分からないでもない。相方を組むオーウェン・ウィルソンは若い頃のロバート・レッドフォードと何となく似ていて、列車強盗をするあたりの雰囲気は「明日に向って撃て!」を思い起こさせる。最後の方で二人で拳銃を構えて決死の覚悟で教会を飛び出すあたりの画も「明日に向って−」のラストシーンとそっくりである。ウィルソンの起用は成功していると言えるだろう。まあそんなで、いろいろと西部劇としての趣向も交えたジャッキーのアクション編としては可もなし不可もなしといった所。ところで題名は何故「ヌーン」だと思っている人もいるでしょうが、私はこれ、西部劇の名作「ハイ・ヌーン」に引っ掛けているのだと思いますよ。