アメリカン・パイ (米:ポール・ウェイツ 監督)

 アメリカ版「パンツの穴」(知ってるかな?)と言った方が分かり易い、お下品ムービーで、「メリーに首ったけ」といい、この所アメリカ映画はなぜか下ネタ映画ばやりである。高校生グループが、誰が一番先に童貞を喪失するかという他愛ない話で、彼らの涙ぐましい奮闘ぶりが下品なギャグと共に描かれる。インターネットで童貞喪失の同時中継をやろうとするあたりも傑作。最後はめでたく全員目的達成。実にノー天気なおバカ作品だが、すぐにキレたり簡単に人を殺してしまう最近の我が国高校生に比べたらよっぽど健康的でナチュラルである。「パンツの穴」(84・鈴木則文監督)が作られていた時代は、そう考えるとまだ日本人はおおらかで希望を持てたいい時代だったのかも知れない。そんな事をふと思ってしまった。