さくや 妖怪伝  (トワーニ:原口 智生 監督)

 東芝、ワーナー、日本テレビが共同で設立した製作会社「トワーニ」の第1回作品。ワーナーが出資しているわりには、純日本的な妖怪ファンタジー時代劇である。「ガメラ」シリーズの樋口真嗣がSFXを担当し、「ガメラ3」にも出ていた新人安藤希が主演、そして妖怪のキャラデザインは旧「ガメラ」シリーズが作られていた頃、大映京都で数本作られた「妖怪百物語」などの妖怪シリーズと同じである。おまけに化け猫が出てくるシーンはこれも大映で作られた入江たか子主演「怪猫有馬御殿」(54)他の化け猫怪談もののテイストがあり、期せずして大映ムードがふんぷんと漂う作品となった。そうしたレトロ的な味わいと、樋口真嗣によるデジタル合成も駆使したハリウッドにも負けない最新SFXとが見事に融合し、予想以上に魅せるアクション・エンタティンメントになっている。松坂慶子が悪役の土蜘蛛を気分よさそうに怪演(!)しているのもいいし、弱虫でお荷物だった河童の子、太郎が最後に勇気をふり絞って大活躍するあたりは子供たちが喜びそうである。・・・これで演出がもう少しアップテンポでグイグイ押してくれれば申し分ないのだが・・・。ともあれ、ヒロイン安藤希チャンはなかなか凛々しくてカッコよかったし、私は好きですね、ハイ。