ミッション・トゥ・マーズ (タッチストーン:ブライアン・デ・パルマ 監督)

 冒頭の、今やブライアン・デ・パルマのトレード・マークにもなった15分近いワンカット長回し撮影がいつもながら、先生やっとるな…とニヤリとさせられる。が、本編の方は何で今さらと思える、「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」さらには最近の「コンタクト」の焼き直しなのである。「アンタッチャブル」のように、あるシーンのみに名作のパロディと言うかオマージュが散りばめられているならともかく、本筋をまるまるなぞっているのはちょっとねぇ…と思ってしまう。火星の謎の建造物(「2001年−」のモノリスに相当)のデザインや、最後にコンタクトする宇宙人の造形があまりにもありきたりなのにもガッカリする。もっと意表を突いたショッキングなデザインを採用すべきだろう。・・・と色々映画ファンとして、デ・パルマ・ファンとして苦情を並べたが、前記の映画を見ていない若い人たちには十分面白いし、感動させられるだろう。デ・パルマ初のSF作品である点も興味深い。次は是非オリジナルでSF映画の力作を発表して欲しい。