エリン・ブロコビッチ (コロムビア:スティーブン・ソダーバーグ 監督)

 公害問題を追及して、企業から史上最高額の和解金を勝ち取った女性の実話の映画化である。登場する人物の役名はすべて実名であるのがすごい(しかもブロコビッチ本人や上司の弁護士も映画にワンカット出演している!)。こういう生々しい話の映画化にマネー・メイキング・スターのジュリア・ロバーツが主演しているのもまたスゴい。3人の子持ちで、胸元の開いたドレスに超ミニスカート、おまけに大股開きでカエルを採集するシーンまである熱演。普通こんなシーンはイメージが崩れるとして出演したがらないだろう。それを体当たりでやってのけたロバーツをわたしゃ見直しましたよ。これまであまり好きになれなかったスティーブン・ソダーバーグの演出も今回は見事にはまっている。本来は暗く陰気になりがちなこの手のジャンルを、女性の社会進出という時代の空気に合わせ、胸がスカッとするサクセス・ムービーに仕上げた作戦が成功している。…それにしてもこの所、アメリカ映画は実話の映画化がすごく多い。フィクションより現実の方がずっとドラマチックという事なのだろうか。