ボーン・コレクター  (コロンビア/ユニバーサル:フィリップ・ノイス 監督)

 原作はベストセラーであり、2000年版「このミステリーがすごい」でも堂々2位にランクされた傑作。事故で脊椎を損傷し、首から上と指1本しか動かせない犯罪捜査官(デンゼル・ワシントン)が、ベッドに寝たまま猟奇連続殺人事件の捜査にあたる。彼の助手となり現場を動き回るのが若い敏腕女性警官−という組合せはあの「羊たちの沈黙」を思わせるという声も多い。がむしろヒントとなっているのはヒッチコック監督の「裏窓」(原作はコーネル・ウールリッチ)ではないかと私は思う。事故で体が動かせない主人公と、彼に代わり殺人が行われた(と思われる)現場を美女(グレース・ケリー)が探索する…というストーリーが似ているし、何よりラストで犯人が主人公の部屋に侵入し彼を殺そうとする展開がそっくりである。−まあそんなことはどうでも良くて、「羊たち−」や「セブン」等の傑作と並ぶ、狂気の現代を反映した猟奇犯罪ミステリーとして結構面白く見れた・・・と思っていたのだが、ラストのラストに至ってズッこけた。犯人の正体があんまりなのである。ここは原作と変えてあるのだが、それまでの不条理的な展開に比べていっぺんに底の浅いミステリーになってしまっており、これはまさに改悪である。見ていない人の為にくわしくは書かないが、これは許せない。前半95%は70点だが、残り5%はマイナス点にしたいくらいである。