アンドリューNDR114  (米:クリス・コロンバス 監督)

 原作はロボットものを書いては右に出るものがいない大御所アイザック・アシモフ。人間の命令を実行するだけだったロボットが次第に知識を習得し、音楽を鑑賞し、自分の存在そのものについて考え、人を愛するという感情を持つ…という具合にさまざまな事を学び取り、200年にもわたって生き続けた後、とうとう最後には“人間”として、自らの死を選ぶに至る。テーマとしてはかなり重い、壮大な物語だが、ロボット・スーツに入って演技したロビン・ウィリアムスの、過剰さを抑えた好演によって見応えのあるドラマとなった。これは、見方を変えれば、“不老不死”は幸せな事か、人を愛し、愛する人と共に安らかに死ぬ事こそ望ましい人生ではないのか…というテーマについて変則的なシチュエーションを借りて描いたドラマではないだろうか。原題が“Bicentennial Man”(200年生きた男)である事からして、これはロボットよりも、人間(Man)について語った作品だと作者も言っているのだろう。深く考えさせられる、これは秀作である。