クロスファイア (東宝:金子 修介 監督)

 今回は日本映画が少ない。公開される作品自体が少ないし、是非見たい作品も少なかった。そんな中でまあまあだったのがこの作品。宮部みゆき作品はこれが始めての映画化(もっとどんどん映画化して欲しい。「龍は眠る」とか「蒲生邸事件」など映画向きだと思う)。映画は前半が短編「祭」をそのまま映像化し、後半はその続編的な「クロスファイア」につなげてある。前半が特にいい。主人公の、自らの超能力を自覚するがゆえに愛する人から遠ざからざるを得ない哀しみが巧みに表現され、それ故雪の夜の再会と別れのシーンはホロリとさせられる。が後半登場する謎の組織ガーディアンの位置付けが中途半端なのがやや惜しい。前半の、ほとんど罪の意識がないレイプ犯の少年の登場は最近の17歳の少年犯罪を思い起こさせ、リアリティがあるのに比べ、ガーディアンの行動ポリシーはややマンガ的である。が、その点を除けばラストの洋画にも見劣りしない大アクションも迫力があり、最近の日本映画としては水準を超えた出来である。桃井かおりのオバサン刑事のキャラクターも面白い。点数としては前半80点、後半60点というところ。従って平均して)となった。