アメリカン・ビューティー (ドリームワークス:サム・メンデス 監督)

 アカデミー賞作品賞を始め5部門を受賞した作品。平凡なアメリカ人の家庭の夫(ケビン・スペイシー)が、隣りのサイコ高校生や娘の同級生の美少女の登場によって破滅して行くというお話。物語としては悲劇なのだが、演出タッチはほとんどブラック・コメディのノリなので暗くはない。しかしこれがアカデミー作品賞とはねぇ…。(注:以下は未見の方にはネタバレになるので見ないこと)隣の家の堅物大佐(これが「遠い空の向こうに」で炭鉱夫のガンコ親父を好演したクリス・クーパー!)がスペイシーの行動をホモだと誤解したり、自分の息子が彼の足元でマリワナを巻いているのをフェラしていると勘違いするあたりは「オースティン・パワーズ」にも出てきたような低レベル・ギャグでいまいち。で、その大佐が雨の中、スペイシーにスリスリするあたりは爆笑もので、しかしこれをスペイシーとクーパーというどちらも堅物イメージの俳優が演じているのでどうも笑いがこわばってしまうのはマイナス。まあしかし、下品なネタがあるにもかかわらず全体としてはサラッとテンポよくつないだ演出は評価して良いだろう。アカデミー受賞作品などと固く考えずに、肩が凝らずに気軽に笑えるコメディとして楽しむべし。ただし身につまされる方がいても当方は関知いたしませぬ。