遠い空の向こうに (ユニバーサル:ジョー・ジョンストン 監督)

 '50年代後半、ソ連の打ち上げた人工衛星スプートニクが空を横切るのを見て、いつか自分の手でロケットを打ち上げたいという夢を追い求め、幾多の困難を乗り越え遂に夢を実現するまでの物語。・・・私はこういう種類の物語が大好きである。「ニュー・シネマ・パラダイス」、「青春デンデケデケデケ」、近い所では昨年の「BORN TO BE ワイルド」等々。どれも素晴らしい傑作。「BORN TO BE −」同様、こちらも実話である。アメリカの小さな炭鉱の町で、父の跡を継いで炭鉱夫になるしか将来のないはずの主人公。そんな状況で、途方もない夢を追うなんて許されるはずもない。何度も失敗を重ね、くじけそうになりながらも彼に協力する同級生たちとの友情、難病の女教師(ローラ・ダーン。好演!)の励ましなどにも支えられ、遂に大学にも認められ、夢を実現する。特にまるで「巨人の星」を裏返したような頑固一徹の父親を演じたクリス・クーパーが素晴らしい。自分の仕事に誰よりも誇りを持ち、息子にも自分の仕事を継がせたいと願うその考えは間違ってはいないだけに、その父親が最後にミニ・ロケット打ち上げ現場に現れるシーンは感動的である。誰よりも互いを理解し合った父と子が見詰め合うこのシーンには涙が溢れて止まらなかった。ある意味では、この頑固な父親がいてこそ彼は夢を追い続けることが出来たのかも知れない。
 監督はこれまで「ミクロキッズ」「ロケッティア」など、ほとんどディズニー路線のSFX映画ばかりを撮って来たジョー・ジョンストン。それまでの経歴からは想像しにくいほど正攻法で素晴らしい秀作を仕上げた。プロデューサーはあの感動作「フィールド・オブ・ドリームス」のチャールズ・ゴードン。ジョンストンとは「ロケッティア」でも組んでいる(「ロケット」に縁のあるコンビである?)。この2人は今後も注目である。