ジャンヌ・ダルク (コロンビア:リュック・ベッソン 監督)

 戦闘シーンの迫力が凄い。男たちを怒鳴り散らすジャンヌの性格設定もこれまでの聖女的なイメージを破る斬新な演出である。そして国の為に献身的に働いたにもかかわらず国王(ジョン・マルコビッチ)や国母(フェイ・ダナウェイ)の裏切りで処刑されるという政治の非情さを前面に出した展開がユニーク。ただダスティン・ホフマン演じる良心との対話はホフマンの貫禄ある演技にもかかわらずあまり成功しているとは言いがたい。堂々たる大作であるのは間違いないが、見終わってしばらく経つと印象がいま一つ希薄になっているのはどうしてだろうか。