ISOLA/多重人格少女(東宝:水谷 俊之 監督)

 「黒い家」の人気作家貴志祐介のデビュー作の映画化。水溶液のタンクに浸かって幽体離脱するという設定はケン・ラッセルの「アルタード・ステーツ」と同じモチーフ。その離脱した精神が多重人格の少女に転移するという展開に阪神大震災をからめたストーリーはやや盛り込み過ぎてバランスを崩した感がある。ラストで悪魔の魂を乗り移らせた男が飛び降り自殺して解決するというあたりはまったく「エクソシスト」と同じ。主人公の少女が黒澤明の孫という点のみ話題となった、まあその程度の作品であります。