ガラスの脳  (日活:中田 秀夫 監督)

 手塚治虫の原作を「女優霊」「リング」など一連のホラー作品で脚光を浴びた中田秀夫が監督。これまでとはかなり傾向が異なるだけに多少不安を抱いていたのだが、出来上がった作品はそんな杞憂を吹っ飛ばす素敵な作品になっていた。生まれた時からずっと眠り続け、17歳でたった5日間だけ目覚める事が許された少女と、彼女をひたむきに愛する少年との短くもせつない愛のファンタジー。まかり間違えればアイドルの顔見せ的な凡作になりかねない企画だが、原作に惚れ込んだという中田監督、意外と言えば失礼になるが実に丁寧な作りで感動を盛り上げ、ラストでは涙が溢れた。こんなにも感動できるラブストーリーは日本映画では久しぶりではないだろうか。公式ホームページ (http://www.nikkatsu.com/movie/mov_ga01.html)を覗いても絶賛の声が掲示板に寄せられ、10回以上見たというリピーターも続出している。ミニシアターで短期間の公開である為見逃している人が多いと思うが、これは是非多くの、特に若い人に見て欲しい秀作である。