ゴースト・ドッグ (ジム・ジャームッシュ 監督)

 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」その他の、どちらかと言えばマイナーな作品で知られるジャームッシュ監督の珍しい殺し屋を主人公にしたアクション。しかしさまざまなタイプの人間観察的な視点はやはりジャームッシュ・タッチ。「葉隠」を愛読しているというのが異色だがファッション的に使われているだけである。全体としてはジャン・ピエール・メルビルの「サムライ」からの影響が強い。鳥を飼っていたり、ラストで拳銃に弾が入っておらず自殺的な死に方をするあたりがそうである(サムライ=葉隠の連想か)。殺しのテクニックの中に洗面所の排水管の下から狙うというのがあるが、これは鈴木清順監督の殺し屋映画の傑作「殺しの烙印」からのまるまるいただきである。で、エンド・クレジットを見てたらちゃんと“Special Thanks To セイジュン・スズキ”とありました。こういうのはエチケットとして見習って欲しいですね。