ゴジラ 2000(ミレニアム)(東宝:大河原孝夫 監督)

 久しぶりの日本製ゴジラ作品。しかし正直言ってガッカリする出来。SFXはまあまあだがストーリーが陳腐。それに過去のシリーズや見たことのある映画からのパクリが多すぎる。ゴジラ予知ネットに属する主人公(村田雄浩)がゴジラを追っかけるシークェンスは「ツィスター」そのままだし(「ツィスター」自身が「ゴジラ」1作目のいただきである!)、海上に浮かぶ巨大な岩や、仰角で捕らえたカメラ・アングルは「ガメラ・大怪獣空中決戦」、UFOとの対決は84年版「ゴジラ」のスーパーXとの対決のおさらいで、ゴジラ細胞との融合で生まれた怪獣というパターンは過去のシリーズで手垢のついたエピソードである。私はきちんとした物語の中にさりげなくオマージュのこもったパクリを入れる場合なら大いに歓迎するのだが、この作品はただいろんな旧作の名場面をつなぎ合わせただけでしかない。村田がビルに残っているのに、敢えて(大した必然性もない)時間通り爆破しようとする阿部寛の真意も分からない(UFO情報を収集する為に残っているのだから少し待てばいいのだ)。ゴジラの生みの親田中友幸プロデューサーが亡くなったせいでこんな凡作になったとは思いたくない。次回はまずきちんとしたストーリー作りから始めて欲しいと要望しておこう。