ドリームメーカー (東映:菅原浩志 監督)

 なんとまあヒドい凡作である。音楽プロデューサーらしい松浦勝人の自伝という事だが、難病で死んで行く少女との恋という陳腐なエピソードはどこまで実話なんでしょうかね。店番のいないレンタルレコード店の地下にズカズカ入って行って(おいおい家宅進入罪だよ。それにこんな商売やってたらレコード全部盗まれちまうよ)見つけたジャズの古典的作品にやたらくわしいというのも嘘っぽい(バイク乗り回してロックの騒音撒き散らすガキがそんな名曲いつ聞いているんだ?)。古典レコードだけのレンタルなんて大型店がこなくても商売になるわけないし、借金してる割に店をリニューアルしている様子もない。ディスコ・イベントも含めてこの主人公、何でもただ思いつきだけで行動してるようにしか見えない。店のオーナー(徳井優)が「許可をとらないでディスコやったので廃店になった」なんてボヤくのにはあきれた。若い連中をリードし指導するのが大人の役割だろうが!。そして突然現代でコンサートを成功させる主人公の姿が描かれる。この物語のどこにそんな成功を収めるようなエピソードが出てきたのか?。夢を追い求めるというストーリーは好きだが、この映画はそれ以前、まさに企画そのものが行き当たりばったり、登場人物の誰にもまるで感情移入できないドラマ以前のしろものである。こんな映画がますます若い人が日本映画を見なくなる要因を作っているのだと、厳しく断罪しておきたい。      (