御 法 度 (松竹:大島 渚 監督)

 大島渚13年ぶりの新作に大いに期待したが、期待にたがわぬ力作だった。無骨な男だけの集団(たけしやトミーズ雅を始めワザとジャガイモ顔の役者ばかり集めたのか?)に美貌の少年が入った事により鉄の組織が少しづつゆるぎ始める。スリリングな緊張をはらんだ演出はブランクを感じさせない。ラストがややあっけないように思えるがこれは司馬遼太郎の原作通りである。原作にないこの後を創作してオチをつければもっと面白くなったかも知れない。が、今回は大島復活だけでよしとしよう。松田龍平はまだ15歳なのに妖艶かつデモーニッシュな存在感があり、既存の俳優の中では思いつく人材はまずいない。彼を起用した事だけでもこの作品は映画史に残るだろう。将来が楽しみ。久方ぶりの映画スターの素質十分。大事に育って欲しい。