スター・ウォーズ エピソードT/ファントム・メナス
(ジョージ・ルーカス監督)
はっきり言って、シリーズ中で一番面白くない出来である。理由その1、「メッセンジャー」の項でも述べた通り、第1作であれほど観客を楽しませた、“正しい娯楽映画”の方法論が見事に欠落している事。理由その2、作品の芯となるヒーロー(主人公)が誰なのか、さっぱり分からない事。一番長く出演しているクワィ・ガン・ジンは死ぬし、オビ・ワンはほとんど活躍しないし、アナキンはラストで、たまたま乗り込んだ戦闘機にたまたま触ったらたまたま敵艦に入り込み、たまたまミサイルを撃ったらたまたま爆破してしまったというしまらない英雄ぶり(おまえはオースティン・パワーズか!)。理由その3、“エピソード1”であるからには、背景となる共和国の歴史や主要人物の出会いや成長(特にオビ・ワンはどうやってガン・ジンと会い、どう修行したのか)などをきちんと描くべきではないか。・・・まだあるけどこの位にしておこう。しかしこのままエピソード3までいった所で、結局いたいけなアナキンは悪人ダース・ベイダーになり、オビ・ワンは辺境の星で寂しく余生を送りました・・・てな結末しか待っていないのではハッピーエンドになりようがないではないか。アラ探しをするつもりはないが、C−3POの生まれ故郷がタトゥイーンであり、オビ・ワンとR2−D2、C−3POらが既にここで出会っているなら、第1作(エピソードW)で、ドロイドたちがタトゥイーンに着いた時やオビ・ワンと出会った時に、なつかしく思い出したり再会を喜ぶはずなのに、見知らぬ星で互いに初めて会ったように描いているのはつじつまが合わない。せめてもの見どころを探せば、クロサワ作品に対するオマージュが第1作以上に全編にちりばめられているところか。(結局一番やりたかったのはそれか!)
まあ第3話まで見ないことにはきちんとした評価は下せないだろうが、今回のエピソードTに限っては、厳しく
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という採点を下しておきたい。