第5回 「日活黄金アクションの世界!」

 
開催日: 1975年1月11日(土)

場所: シギノ大劇

上映開始: PM 10:40

テーマ: 昭和31年、彗星の如く登場した石原裕次郎の爆発的人気に支えられ、日活映画は裕次郎を中心としたアクション路線を敷き、それに牽引されるかのようにアクション映画スターが次々と輩出し、数多くのアクション・シリーズが作られた。昭和34年をピークとする日本映画の黄金時代、娯楽に飢えた若者たちは映画館に列をなし、カッコいいスターの活躍に喝采を送った。今回はそうした日活黄金アクション映画の中から、シネマ自由区が選りすぐった、今も人気がある名作・話題作を並べた。
上映作は、裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、そして宍戸錠という4人の日活アクション映画スターの、それぞれの代表作。ただ、貸出フィルムの都合もあって、必ずしも満足出来るベスト作品ばかりではない点はお断りしておきたい。

当日プログラム(PDF)  ※ご覧になるには Adobe.Readerのインストールが必要です。

(注)プログラムはすべてB4サイズです。印刷したい場合はB4が印刷出来るプリンターなら問題ありませんが、A4プリンターであれば、B4→A4への縮小プリントを行ってください。

※ 画像をクリックすると拡大されます。

 
(作品紹介)

 赤い夕陽の渡り鳥

 製作:日活 
 封切日:1960.07.01 上映時間:79分  カラー/日活スコープ
 監督:斎藤武市 
 脚本:山崎巌 大川久男 
 原作:原健三郎 
 撮影:高村倉太郎 
 音楽:小杉太一郎 
 助監督:神代辰巳
 出演者:小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、白木マリ、大坂志郎、深江章喜

小林旭主演のヒットシリーズ第4作。お話も絵柄も、「シェーン」その他のアメリカ製西部劇のパターンそのまんま。登場人物は敵も味方も西部劇風の服装で、アキラ扮する滝伸次は颯爽と馬にまたがり、拳銃の早撃ちを披露する。土地の風景もまるでアメリカ西部を思わせる広大な平原だったり、幌馬車も登場したりと、まさに和製西部劇。シリーズ第2作「口笛が流れる港町」では、アキラはシェーンそっくりの皮服スタイル、敵対する宍戸錠はこれまた「シェーン」の悪役、ジャック・パランスそっくりの黒づくめ姿と、遊びまくっている。クラブではアキラが歌いだすと、敵は中腰のまま歌い終わるまでじっと待っていたりする(笑)。ラストで宍戸扮するハジキの政がアキラのピンチを救った後に、「シャバの空気に飽きちまった、自首でもしようかな」とニヒルに拳銃を捨てて去って行く辺りがなんともキザで楽しい。荒唐無稽な内容だけど、観客はそれらをお約束として楽しんでいた。“無国籍アクション”という呼称も自然に生まれた。余談だが、その頃私が通っていた小学校では、“渡り鳥ゴッコ”が大流行(笑)。それぞれにアキラやハジキの政になり切って、輪ゴムのピストルの撃ち合いで遊んでいた。おおらかで、いい時代だったとも言えよう。
 

 霧笛が俺を呼んでいる

 製作:日活 
 封切日:1960.07.09 上映時間:79分  カラー/日活スコープ
 企画:水の江滝子 
 監督:山崎徳次郎 
 脚本:熊井 啓 
 撮影:姫田真佐久 
 音楽:山本直純 
 美術:木村威夫 
 助監督:鍛冶 昇 
 スチール:斎藤耕一 
 出演者:赤木圭一郎、葉山良二、芦川いづみ、吉永小百合、二本柳寛、内田良平
 
トニーこと赤木圭一郎主演の傑作。霧にむせぶ港町横浜を舞台に、不慮の死をとげた親友の謎を探る男・赤木圭一郎と、親友の恋人・芦川いづみとの淡いロマンスを絡めたミステリー・ロマン。
お話は、よく観ればあのキャロル・リード監督の名作「第三の男」の換骨奪胎版。まああの頃の日活映画は、上記の「渡り鳥」=「シェーン」やら、裕次郎の「赤い波止場」「望郷」「夜霧よ今夜も有難う」「カサブランカ」と、洋画の名作を片っ端から翻案して(悪く言えばパクって)いたのである。脚本を書いたのが熊井啓というのも面白い。しかしなかなかうまく翻案されていて感心する。まだデビューしたての吉永小百合がとても可愛かったり、ラストの赤木のキザなセリフも不思議とハマっていたり、見どころ十分の楽しめる佳作である。余談だが、本作のクランクインは6月8日で、封切は7月9日!信じられない強行スケジュールである。
 

 用心棒稼業

 製作:日活 
 封切日:1961.04.23 上映時間:78分  カラー/日活スコープ
 監督:舛田利雄 
 脚本:松浦健郎、中西隆三 
 原作:松浦健郎 
 撮影:姫田真佐久 
 音楽:伊部晴美 
 出演者:宍戸錠、二谷英明、南田洋子、笹森礼子、二本柳寛 


それまではアキラやトニーこと赤木圭一郎の相手役を務める、いわゆるバイプレイヤーだった宍戸錠が、この年(1961年)の裕次郎のスキー中の骨折、圭一郎の事故死、と相次いだアクシデントによって急遽主演に昇格して作られたのが、稼業シリーズ第1作「ろくでなし稼業」(斉藤武市監督)。二谷英明との“ろくでなしコンビ”の息も合ってこれは日活アクション・コメディの佳作となった(小林信彦さんはこれを20世紀のベスト100本の内の1本に挙げている)。
その勢いに乗って矢継ぎ早に作られたのが本作。しかしあまりにも製作期間が短いせいか(前作の封切は3月12日)、はたまたコメディはあまり得意ではない舛田利雄監督がメガホンをとったせいか、ギャグも不発、いまいち冴えない出来である。しかし、冒頭タイトルバックのデキシー調ジャズに乗ったジョーさんの曲撃ちはお見事。ここだけでも観る値打ちはある。


 夜霧のブルース

 製作:日活 
 封切日:1963.06.30 上映時間:103分  カラー/日活スコープ
 監督:野村 孝 
 脚本:國弘威雄 
 原作:菊田一夫 「長崎」
 撮影:高村倉太郎 
 音楽:伊部晴美 
 美術:木村威夫 
 助監督:吉田憲二 
 出演者:石原裕次郎、浅丘ルリ子、岩崎加根子、山茶花究、垂水悟郎、郷^治、松尾嘉代、芦田伸介 

裕次郎主演の、いわゆるムード・アクションの佳作。冒頭からいきなり暴力団の事務所に乗り込んだヤクザの幹部・西脇(裕次郎)が、何故そんな行動を取ったかを語り始め、ほぼ全編が回想形式で進むという異色作。西脇と恋人のみち子(浅丘ルリ子)の愛の物語がしっとりと描かれるのはいいのだが、それを延々聞かされる敵のボス(山茶花究)が「いいかげんにしろ」と怒り出すのが何やらおかしい。そしてみち子が死んだ原因がボスたちにある事がようやく説明され、怒りに燃えた西脇が壮絶な乱闘の末に復讐を果たすが、自らも敵の刃に倒れる。サスペンスとアクションとラブ・ロマンスが絶妙にブレンドされた、野村孝監督の力作である。ちなみにこの物語構成と展開は小林正樹監督の秀作「切腹」とそっくりである。


 赤いハンカチ

 製作:日活 
 封切日:1964.01.03 上映時間:98分  カラー/日活スコープ
 監督:舛田利雄 
 脚本:小川 英、山崎 巌、舛田利雄 
 撮影:間宮義雄 
 音楽:伊部晴美 
 美術:千葉和彦
 助監督:樋口頴一 
 出演者:石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明、川地民夫、笹森礼子、芦田伸介、森川信、金子信雄

港町・横浜を舞台に、罠に嵌められ、刑事を失職する事となった三上(裕次郎)が、工事現場で働きながら事件の真相を追う、サスペンス、アクション、謎解きミステリー、ラブ・ストーリー、と、娯楽映画のあらゆる要素がぎっしり詰め込まれた、日活ムード・アクションの頂点をなす傑作。とても短期間で作られたとは思えないほど、ストーリーも緻密で、演出も音楽(伊部晴美)も極上の仕上がりである。舛田利雄監督作品中でもこれは最高作ではないだろうか。ちなみに当HPの「落ちこぼれベストテン」では、本作は昭和39年度のベストワンを獲得している。

予告編

(回想記)
前回の「野良猫ロック」5本立の成功の余勢をかって、日活アクション全盛期の傑作群を集めた、映画ファン垂涎ものの特集上映…であったが、観客動員は前回より50人以上も少ない125人。若い世代の支持を集めた「野良猫ロック」に比べれば、観客年齢層がやや高めと思われる裕次郎・旭・圭一郎主演作はそれだけハンデがあったという事か。宍戸錠主演作にしても、傑作「ろくでなし稼業」を番組に組めなかったのが残念。それにしても、我々熱烈な映画ファンから見れば贅沢な番組であっても、観客動員は難しいものである事を改めて思い知らされた。

 

 
 DVD/ビデオソフト紹介

 「用心棒稼業」  

  ソフトなし  

   

※次回プログラム 第6回 「不死鳥・渡哲也の横顔」