2022年度 ワーストテン

 

 恒例の、2022年度の私の選んだワーストテンを発表します。例年の通り、単に出来の悪い作品よりも、期待している作家がその期待を大きく裏切った場合に、厳しく採点しているケースがあります。対象期間はベスト20と同様、2022年1月〜12月大阪公開作品です。
 では発表します。

順位

作  品  名 監    督
“それ”がいる森 中田 秀夫
月の満ち欠け 廣木 隆一
大怪獣のあとしまつ 三木 聡
ポプラン 上田 慎一郎
KKKをぶっ飛ばせ! チャーリー・スティーズ
この子は邪悪 片岡 翔
永遠の1分。 曽根 剛
ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード パトリック・ヒューズ
ノイズ 廣木 隆一
10 大河への道 中西 健二

ムーンフォール (VOD) ローランド・エメリッヒ

 

 

 1位「“それ”がいる森」ポスター、予告編、監督中田秀夫という組み合わせで、誰が考えても怪奇・ホラー映画と思うでしょうに、中身はなんと宇宙人ものとはね。でもホラーともSFともどっちつかず、全然怖くなくて最後は「宇宙戦争」パロディみたいで笑っちゃいました。あれじゃまるでコントですよ。演出もユルい。文句なしのワーストワン。前作「事故物件 怖い間取り」もワーストテン入りですし、最近の中田監督の低迷ぶりは目を覆うばかり。

 2位「月の満ち欠け」。原作が直木賞受賞作なのに、どうすればこんな駄作になるんでしょうか。生まれ変わりが大泉洋の周りばっかりで起こり過ぎで、日本中でどれだけ生まれ変わりがいるんだとツッ込みたくなります(笑)。田中圭、歌ってる少女を何で生まれ変わりと決めつけられるの?ラストもとってつけたよう。小説なら文章だけですが、映画になると50の男と10歳の少女が抱き合うという絵柄はどう見ても異様です。廣木監督も最近多作のせいか、演出もちょっと雑ですね。

 3位「大怪獣のあとしまつ」。三木聡監督だからトボけたコメディを期待しましたが、ちゃんとした怪獣映画にも脱力コメディにもなり切れない中途半端な出来でした。ラスト、それならもっと早く解決出来たでしょうに(笑)。やはり三木監督は低予算ミニシアター向け作品でないと本領を発揮出来ないと思います。起用したプロデューサーが悪い(笑)。

 4位「ポプラン。チ〇コが行方不明になるという奇想天外なお話ですが、コメディとしてまったく話がはずまず、演出はテンポが悪い。もっとギャグてんこ盛りで笑わせてくださいよ。上田慎一郎監督、「カメ止め」の勢いは何だったんですか。

 5位KKKをぶっ飛ばせ!」。KKKが黒人を食うという変わった設定で、後半KKKに徹底的な復讐をするという展開は悪くないし、うまく作ればB級映画大賞にノミネート出来たのですが、とにかく脚本も演出も編集も粗っぽくてヘタ。学生の自主映画かと思いましたよ。よくまあシネコンで上映したものです。

 6位この子は邪悪」。前半は面白そうだったのに、後半ヘンな方向に行って、オチに唖然。催眠術で精神退行させたり人を操るまでは許せても、ウサギと魂を入れ替えるって、それは催眠術では不可能でしょう。荒唐無稽過ぎます。玉木宏は魔術師か(笑)。

 7位「永遠の1分。」。「カメ止め」の上田慎一郎脚本ですが、震災をコメディにするなら余程脚本を練らないと。せめてきちんとした脚本の書けるライターと組むべきです。演出も平板で気合が入っていない。

 8位「ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード」。こちらはキャストは豪華だし金は掛かってるのだけれど、どこかで観たようなシーンばかりで作りは雑。観終わってしばらくしたらどんな映画だったかほとんど覚えてませんでした。

 9位「ノイズ」。これも廣木監督。保護司が元受刑者の仕事を探すのに、相手先に連絡も承諾もなしに、それも家族に行き先も告げずに行くなんてあり得ない。死体を隠しての一騒動というのはブラック・コメディになりそうなのに、やたら深刻な演出で、かと思うと余貴美子扮する町長がいきなりスコップでドアをぶち壊して入って来るといった具合に、コメディかサスペンスかどっちに行きたいのかさっぱり見えません。脚本にも責任あり。

10位「大河への道。これもコメディか感動の物語かどっちつかず(こればっかりだ(笑))。それと大河ドラマ実現を目指すなら何よりも先にNHKに企画持ち込まなければ。県庁に(しかも市役所職員が?)お願いに行ってもどうにもならんでしょう。製作の当てもないのに先に脚本書かせて、NHKに断られたらどうするんですか。思い切って現代編全部カットして時代劇として作れば面白くなったかも。

次点「ムーンフォール」ネット配信のみなので番外にしたけど、劇場公開されてたらワースト3内に入ったのは確実。それ位酷い作品。月が地球に落ちて来るという奇想天外なアイデアはいいのですが、「アルマゲドン」の焼き直しみたいで新味に乏しい。特に、月は人工的に作られた巨大建造物だったという展開には唖然。そんな設定にする意味がまったく無く、却って安っぽくなってます。それなら、終盤月が接近して引力で海水や地球の建造物が月に吸い寄せられる描写と整合性が取れません。人口建造物にそんな引力なんてあるはずない。1億5千万ドルの製作費かけて、回収したのは5,900万ドルと大赤字だそうですがそれも当然。エメリッヒ監督も最近はダメですね。


観る本数が減って、以前のようにトホホ映画まで追いかける余裕がなく、何本かのワースト候補作品を見逃してると思うのでちょっと苦しいワーストテンになりました。ご容赦を。

 

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